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09/09/28 朝日俳壇、歌壇より

 JR西日本の「犯 罪」について書きましたが、企業の腐敗の原因のひとつに労働組合の弱体化があると思っています。
 闘わない労働組合、御用組合と化した労働組合が日勤教育など過酷な労務政策を受け入れ労働者を守らず、安全より収益という経営をチェックできなかったこ とが、JR西日本の今に繋がるように思います。
 労働組合を骨抜きにすることで労働者軽視、顧客軽視、安 全軽視に傾いていったのでしょう。国鉄を分割民営化した中曽根首相(当時)は「その真の目的は労働組合の解体にあった」と 言っています。(Wikipedia 「国鉄分割民営化」より)

 また、日本航空の再建問題でも一部には労働組合が経営悪化の原因のひとつであるかのように論じるマスコミもありますが、
山 崎豊子さんの「沈まぬ太陽」を読んでみるとあまりにも酷い日本航空の労務政策を知ることがで きます。
 国民航空の労働組合の委員長になり、社員の待遇改善と安全の問題で会社と対立した恩地元は転々と海外勤務をさせられ「転向」を迫られても信念を曲げずに 闘っていくという物語です。日本航空と日本航空労働組合の委員長であった小倉寛太郎さんがモデルになっています。タイミング良く映画化され10月に公開され るそうです。


  28日付け朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。

 今週も難しい言葉がたくさん出てきました。
◇鯊船(はぜぶね)
 ハゼは秋の季語だそうです。
◇邯鄲(かんたん)
 鈴虫に似た秋の虫のようです。
◇配流(はいる)
 島流し、流刑のことだそうです。
◇罌粟(けし)
 「貝」二つに、缶詰の「缶」と栗で「けし」と読むそうです。物の名前は難しい。雛罌粟と書かれてやっと「ひなげし」と読めても書くことはできません。
◇賓頭盧(びんづる)
 賓頭盧尊者。仏様のお一人のようです。
◇幽暗(ゆうあん)
 暗くかすかなこととありました。難しい。

◆朝日俳壇
◇長き夜をかと言つて何するでなし(徳島市・清水君平:長谷川櫂選)
 私も今、長き夜を何するでなく起きております。
 何もしないことも長い夜の過ごし方のひとつかも。

◇母の名もカタカナ二文字萩の秋(茅ヶ崎市・松沢ノブ:長谷川櫂選)
 誰もがこんな句が作れる訳ではないですね。私の母は「キミ」、祖母は「マツ」でしたがこんな句ができるとは思いもよりませんでした。

◇西瓜食ふ顔に遠慮のなかりけり(久留米市・古賀田持:稲畑汀子選)
 西瓜を食べるときは気取っていられません。タオルでも膝において縁側で頬張るのが一番、種は庭先に吹き飛ばす。

◇大戦の更に風化し夏は行く(佐賀市・池田覚:金子兜太選)
 世の中には忘れても良いものと忘れてはならぬものがありますが、だんだんと忘れさられていくのは、また同じ道を辿るようで怖いことです。

◇この星に散らばる地雷曼珠沙華(調布市・岩本よう:金子兜太選)
 真っ赤に咲いた
曼珠沙華から地雷原を発想する。句を読んで「あ、そうか」と思う、すごい着想ですね。

◆朝日歌壇
◇消すほどのプライバシーではなけれども一日(ひとひ)籠りてシュレッダーする(横浜市・山本雅子:佐佐木幸綱選)
 何となく共感できる歌です。「消すほど」でも「隠すほど」でもないプライバシーでも大事にしたい。
 「シュレッダーする」と動詞になるのですね。

◇朝顔に歩道のゴミに「アッアッ」と歩みを止める一歳四ケ月(盛岡市・森奈賀子:高野公彦選)
 先日、娘が帰省しており一歳八ヶ月の孫の守りをしていましたが、歌同様に散歩すると指差して「アッアッ」を繰り返していました。道草ばかりの散歩でし た。

◇二人とも吾から生まれき控えめな上の子前へ出たがる下の子(鹿嶋市・榎本麻央:永田和宏選)
 我が家は一卵性双生児の娘が二人ですが、長じて性格はずいぶん違ってきました。不思議ですね。

◇ぐい飲みにきらめいている地の酒をぐいと飲むとき秋は楽しき(岡山市・光畑勝弘:馬場あき子選)
 秋になると牧水の「白玉の歯にしみとほる秋の夜の 酒は静かに飲むべかりけり」を思い出します。
 辛口の新酒をグイッと一杯やりたいものです。

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