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11/09/28 朝日俳壇、歌壇より
 住んでいる集合住 宅の管理組合の総会諸々と、久し振りに人と飲む機会が重なり、テレビのニュースはもちろんネットも十分見られない数日間でした。

 そんな中、首位争いをしているドラゴンズの落合監督が今シーズン限りで解任されるとか、ファイターズの梨田監督に続いてシーズン中の解任発表とは、次期 の人事構想もあるのでしょうがこの時期に解任の発表するのはいかがなものでしょう?

 ゆるーいドラゴンズファンである私は、オリオンズ時代からの落合ファンであります。
 来期からどこかのユニフォームを着るのでしょうか?解せない世界です。

 中国電力上関原発の建設予定地となている山口県上関町で、
東京電力の福島第一原発の事故以来初めて?原 発立地自治体で原発推進派の首長が当選したと話題になっています。上関町の人口は50年間で12,300人から3,500 人と3分の一以下に減り、65歳以上の人口比は50%近くになっているそうです。町ごとが限界集落、限界自治体に限りなく近づいています。

 そんな町の原発関連収入は約11億円と当初予算の4分の一を占めるという。原発のカネで温泉施設やインフルエンザ予防接種の無料化が実現しているそうで す。原発のカネなしでは維持できない財政状況のようです。

 福島第一原発の事故以来、新規の原発建設が原発推進の人たちからも「建設推進」と言い難い状況で、上関の人たちは推進派の町長を選びました。
 原発が建設されず、交付金も寄付金も途絶えたときにこの町はどうなるのでしょう。
 知らぬ間に麻薬を注射され、麻薬なしでは生きていけない中毒患者のことを思わせます。
 眠っている間に麻薬を注射したのは、国と電力会社、目晦ましは御用学者とマスメディアの役でした。

  9月26日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。

◆朝日俳壇
◇山からも津波襲いし野分かな(伊丹市・小早健介:金子兜太選)
 山からも水、海からも水、私たちはその水で生かされてきたのに、その水で殺される。
 山の恵みを生業にし山懐に住み着いてきたのに、海の恵みを生業にし海辺に住み着いてきたのに、山から海から強烈なしっぺ返しをされてような今年でした。

◇ひつそりと無花果(いちじく)を煮て店を閉づ(堺市・吉田敦子:金子兜太選)
 何故「ひっそりと」なのでしょう?
 毎日の営業の閉店でしょうか?廃業とされる閉店でしょうか?
 イチジクの煮物が出る店とは西洋料理屋、和食屋、、高級な店なのでしょう?

◇枝豆を大豆と知らず五十年(名古屋市・可知豊親:長谷川櫂選)
 都会の人はそうなのでしょうか?
 今の枝豆と豆腐や味噌にする大豆の品種は違うのでしょうが、子どものころは稲作の田んぼの畦に大豆の種を蒔き稲の収穫と同時期に大豆(畦豆と呼んでいた ような)を収穫してきな粉などにして食べたものです。
 こういう句が入選するとは驚きでした。

◇手に稲穂のせて刈る日を決めてをり(竹原市・岡元稔元:大串章選)
 子どものころを思い出させる句が続きます。
 我が家は貧農で三反ばかりの耕作地しかありませんでした。近所の農家のおじさんは田んぼの畦から実の入りを確かめるように稲の穂を手に載せて刈り取る日 を決めていたようです。そのおじさんに農機で稲刈りをしてもらう我が家はおじさんの手に拠って一家総出の稲刈り日が決まるのでした。

◇雲はまだ峰を崩さず秋暑し(大牟田市・鹿子生憲二:大串章選)
 雲の峰は夏の季語、こうして秋の句を詠むのだと教えられました。

◇初嵐転校生の多くして(東京都・吉竹純:大串章選)
 先週は福島の方の歌に転校していく子どもを詠んだものがありました。
 <休み明け友の転校知った子の言葉少なしひぐらしが鳴く(福島市・新妻順子)
 この句はどんな物語が隠されているのでしょうか?

◆朝日
歌壇
◇吹く時を知りて野分の吹き来たりふたりはしょせんひとりとひとり(福島 市・美原凍子:永田和宏/高野公彦選)
 「ふたりはしょせんひとりとひとり」のフレーズが美原凍子さんらしいと素人は思うのですが。

◇今すぐに大人になりたい妹とさなぎのままでいたい私と(富山市・松田梨子:永田和宏/馬場あき子選)
 松田梨子さんは注目されている少女歌人のようですが、少し大人になられたこのような歌がいいですね。
 大人になられたと書いた歌が皮肉にも「さなぎのままでいたい」とは。

◇青春はいつも何か提げていたたとえば米をたとえば本を(大和郡山市・四方護:永田和宏選)
 作者は何歳くらいなのでしょうか?
 米を提げていた思い出は、小学校の修学旅行に2合か4合かの米を持参した着いたこと、飯米くらいは収穫していたはずなのに端境期には夕暮れの道を母と知 り合いに米を借りに行った帰り道、2升だったか5升だったかを持たされたこと。勉強をした覚えがなく本を提げた思い出はありません。

◇低気圧迫れば破水しやすしと産科病棟の夜あわただし(奈良市・阪上元:馬場あき子選)
 低気圧と産科の関係に驚きました。
 月の満ち欠け(潮の満ち引き)と人の生死、満潮に子どもは生まれ、干潮に息を引き取ると聞いたことがあります。
 母は新月(満月)だから、何とかの種を蒔くとか言っていました。実の入りが違うとも。

◇私に長い夜がきて天井の火災警報器ポツンとひとつ(東京都・木田治子:馬場あき子選)
 一人の夜という言葉を使わずに、一人寝の秋が詠まれています。

◇和太鼓が鳴ってたホームの夏祭り看取る人なく一人が逝きぬ(大阪市・池田芳昭:馬場あき子選)
 ホームとは老人ホームのこと?祭りと人の死の対比なのでしょう。看取られなくて逝くことも当たり前、人は一人で死んで逝くもの、孤独死は気になりません が、そのことに気付かれないことは悲しいこと。

◇高齢で肉体労働する父はテーブルに顔を押し付け眠る(東京都・根本孝治:佐佐木幸綱選)
 「父」は職人でしょうか?
 晩酌の酔いでしょうか?労働の疲れでしょうか?その場に顔を突っ伏して眠ってしまう「父」を見る「私」、好ましい父子関係。


◇添え文のなしを良しとす義弟の送りくれたる百年の孤独(新居浜市・紺屋四郎:高野公彦選)

 「百年の孤独」に目がいきました。
 送られてきたのはマルケスの小説「百年の孤独」なのでしょうか?麦焼酎「百年の孤独」でしょうか?
 順当には麦焼酎が送られてきたのですが、「長生きを・・」とか「飲み過ぎないように・・」とか要らぬお世話の添え文がないことで晩酌が薄まることはな かったということでしょうか。
 小説を送ってきたのなら嫌味な義弟のように思われます。
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