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05/01/15 マスコミは誰を見ているのか

 毎度のマスコミ報道ネタです。
 昨日(14日)午後のニュースに、内閣府が03年度(平成15年度)の国民経済計算という統計資料を出したことを報じていました。

 各社の見出しは以下のとおりです。(順不同)
 ・国民所得、3年ぶり増加、家計貯蓄率は2年連続上昇(朝日)
 ・企業所得7年ぶりの伸び、賃金は減少(TBS)
 ・03年度の貯蓄率7・7%、2年連続上昇(読売)
 ・家計の貯蓄率の低下一服、2003年度7.7%に(日経)
 ・家計貯蓄率が7.7%に上昇、消費減少などで=2003年度国民経済計算(ロイター)
 ・国民経済計算:1人当たりGDP、日本後退9位(毎日)
 ・国民所得3年ぶりに増加 03年度、貯蓄も増加(河北新報)
 ・国民所得3年ぶりに増加 03年度、貯蓄は増加傾向に(サンケイ)
 ・国民所得3年ぶりに増加 03年度、貯蓄は増加傾向に(中日)
 ・国民所得3年ぶり増加−03年度 貯蓄率は増加傾向(北海道)

 同じ政府発表を受けての報道(見出し)が、こんなにも違います。

 内閣府発表の03年度国民経済計算(SNA)http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/toukei.html#kakuho

<政府発表>(抜粋)
 平成15年度の国民所得についてみると、雇用者報酬は前年度比−1.0%と3年連続で減少したものの、企業所得が同+10.2%と大幅に増加したため、 国民所得(要素費用表示)は同+1.8%と3年ぶりの増加となった。
 家計貯蓄率についてみると、家計可処分所得が前年度比+0.3%と増加した一方、家計貯蓄が同+7.6%となったことから、家計貯蓄率は前年度から 0.5ポイント上昇して7.7%となった。
 労働分配率(国民所得に占める雇用者報酬の比率)は、前年度から2.0ポイント低下して71.6%となった。

単位 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度
国民所得(a) 兆円 322.7 378.4 367.6 361.4 367.8
  前年比増減率 -1.5 1.5 -2.9 -1.7 1.8
雇用者報酬(b) 兆円 273.0 275.4 272.3 266.0 263.5
  前年比増減率 -1.3 0.9 -1.2 -2.3 -1.0
企業所得 兆円 84.9 88.4 87.3 86.8 95.7
  前年比増減率 1.9 4.2 -1.3 -0.6 10.2
労働分配率(b/a) 73.3 72.8 74.1 73.6 71.6
家計貯蓄率 10.7 9.1 6.7 7.2 7.7
 本表も政府発表の抜粋です。詳細は政府 発表をご覧ください。http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/toukei.html#kakuho

 「国民所得」とは私達国民の所得ではなく「日本国」全体の所得です。私達の所得は「雇用者報酬」で す。

 今回の発表は私のような素人が見ても、
 @国民所得が上昇している
 A雇用者報酬(賃金)は3年連続で下がっている
 B企業の所得は大幅に上昇している
 C家計貯蓄率は低下に歯止めが掛かっている
 くらいは読めます。

 平たく、下世話に表現すれば「労働者の給料を削って、企業が近年になく大儲けをした」ということです。

 マスコミは、誰の視点でものを見、誰に向けて報道しているのでしょうか?
 朝日、読売、日経等は景気が回復して、庶民の懐が潤っているような錯覚を振り撒いています。
 政府の発表資料では、国民所得の増加、雇用者報酬の減少、企業所得が大幅に増加、労働分配率が低下と並列的に記述しています。その中から、わざわざ庶民 が潤っているような報道をする意味はなんでしょうか?

 家計貯蓄率が増加した言うことは、お金が余って貯蓄しているのか、将来が不安で貯蓄しているのかどちらでしょう?
 少し考えれば庶民は社会的な不安があって、消費を控え貯蓄に廻していることがわかるのではないでしょうか。
 庶民が、消費を控えれば益々景気は悪くなるばかりです。

 また、河北、サンケイ、中日、北海道の各社はどうして同じような見出しになるのでしょうか?通信社の配信原稿をそのまま記事にしているのでしょうか?
 何とも情けないことだと思います。警察発表をそのまま垂れ流している事件報道と同じ体質で す。

 そんな中で、TBSが私の感覚に近い報道をしていました。

<TBS>
企業所得7年ぶりの伸び、賃金は減少

 企業の所得は7年ぶりの 高い伸びを示したのに対し、働く人の賃金は3年連続で 減っていることが 分かりました。

 内閣府が発表した日本経済の「決算書」に当たる 国民経済計算によりますと、2003年度の企業の利益や労働者の賃金などを合計した国民所得は、前の年より 1.8%増えて367兆8000億円となり、 3年ぶりのプラスと なりました。
 
 企業所得が10.2%と 7年ぶりの大幅な 伸びを示したためですが、労働者の賃金を示す 雇用者報酬は3年連続で減少。
 
 企業収益の増加が景気回復の けん引役となっているものの、増収分は企業の内部に留まり、 賃金には反映されていない ことが分かりました。
 
 また、可処分所得のうち 貯蓄に回した割合を示す 家計貯蓄率は7.7%で 2年連続で上昇、消費の一部を抑制して、将来への備えに回す傾向が強まっていることが 分かりました。(14日 14:47 )

 少なくとも一部の全国紙は庶民の味方だと思っておりましたが、このような報道を見ると彼らは決して庶民の味方ではないのですね。

 今回は、先にTBSの記事を読んで他紙はどう報道しているのだろうと思いネットを検索してみましたら、残念なことにこんな文章になってしまいました。
 このように文章を書けるのもインターネットのお陰です。購読が一紙だけだったら気がつかないことでした。

◆タレントとコマーシャル
 テレビコマーシャルで、製品やサービスを宣伝しているタレントは、その製品やサービスに対して責任を持つのでしょうか?是非、責任を持って欲しいと思っ ております。
 先日、結婚会見をしたタレントの西川かの子さんは、自分がコマーシャルに出演している結婚式場で挙式すると表明されていました。最近、関西のタレントの 不祥事や差別的発言に嫌気がさしておりましたが、久し振りに爽やかな話題でした。

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