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05/11/27 「規制緩和」の犠牲者は庶民

 この国の指導者たちは「規制緩和」「行政改革」「小さな政府」などと、多くの国民のためになるかのよ うな欺瞞に満ちた言葉を弄して一部の金持ちのための 政策をせっせと実行しております。
 大騒ぎになっている「耐震強度偽造事件」の責任は彼らにもあると思います。

 この「耐震強度偽造事件」は、金の亡者どもが起こした犯罪です。しかし、彼らに犯罪の場を与えたのは、この国の指導者たちです。
 政治家に献金できる金持ちは「安い価格」を売り物にしたマンションを購入する必要がありませんから、今回のような被害者にはなりません。
 なけなしの金を頭金にして、大きなローンを抱えた庶民が生命を脅かすようなマンションに住まわされたのです。

◆建築基準法の「改正」
 1998(平成10)年第142回通常国会において「建築基準法の一部を改正する法律」(本文はこちらをご覧ください)
 それまで、建築確認は地方自治体の「建築主事」という職にある人しかできなかったものを、民間企業( 指 定確認検査機関)にもできるようにしたものです。

 下の図の薄い水色の部分が「規制緩和」された部分です。
 

 この法案に反対したのは共産党だけでした。

 参議院本会議での投票状況は議事録によりますと、以下のようでした。
  投票総数:194
  賛成:182
  反対:12

 7年前のことですから、都合の良いことを忘れることの多い国会議員でも、自分がこの法案に賛成したか反対したかは未だ覚えていることでしょう。
 マスコミは「殺人マンション」等と表現していますが、あなた達は殺人に加担しようとしたのです。

◆民間検査会社を処分
 国土交通省は、構造計算書の偽造を見落としていた指定確認検査機関の「東日本住宅評価センター」も、「イーホームズ」と同じように処分の方向だそうで す。

 「耐震強度偽装、別検査機関も処分へ」(読売新聞 05/11/23)

◆建築確認制度にも重大な欠陥
 河北新報は「不正を簡単に見逃してしまう建築確認制度にも重大な欠陥がある」と指摘しています。
 企業の粉飾決算を見抜かなかった監査法人と同様だとも指摘しています。

 「耐震強度偽造/問題はむしろ検査体制だ」(河北新報 05/11/24)

◆早く通すところが繁盛
 問題の設計士は「偽造物件が通ってしまったので、その後も同じ検査機関を使った」と言っているようです。

 国交省の幹部が「厳格な 検査を行う機関は敬遠され、早く通すところが繁盛するようになってしまった。制度的矛盾があった」と言っているそうです。
 国民の生命と財産にこれほどの影響があるものを「制度的矛盾があった」で済まされてはたまりません。

 「安全が確保されるのかという懸念はあったが、規制緩和の流れの中で認めざるを得なかった」と言っている国土交通省の幹部もいるそうです。
 「規制緩和の流れ」等というものが誰のためのものか、高級官僚が分からないはずはありません。
 彼らは、この国の金持ちに奉仕する組織であり、官吏であったのです。

 この期に及んでも、北側国土交通大臣は「制度自体は必要なもの。運用に問題があった」として制度の欠陥に目を瞑っています。
 制度の欠陥か運用の欠陥かが分からないようではこの大臣もボケているとしか思えません。

 「マンション建設ブーム 指定機関急増」(読売新聞 05/11/24)

◆確認の甘さを自ら認める
 「東日本住宅評価センター」の幹部は「社員の経験や感覚に頼り」「あら探し的な確認作業をしていなかった」と答えているそうです。
 確認の手順などをまとめた「マニュアル」もなかったそうです。
 仕事をするのに、その手順も決められていなければミスが出て当たり前です。

 「姉歯」関与 平塚市が建築確認 」(朝日新聞 05/11/25)

◆今さら、監視を強化
 国土交通省は民間検査機関への監督体制を強化する方針だそうです。
 今さら何を言っているのでしょうか。

 「建築物民間検査機関、監視体制を強化・耐震偽造で国交省」(日本経済新聞 05/11/25)

◆指定確認検査機関はゼネコン等が出資
 調査した40社のうち11社が建設・住宅関連企業が出資しているそうです。
 検査される側と検査する側が同じ資本の中にあれば、不明朗な審査になることは十分予想されることです。

 「耐震強度 民間の検査機関 ゼネコンやメーカーが出資 公正・中立性に疑問」(しんぶん赤旗 05/11/25)

◆第七藝術劇場 再開
 9月から休業していた大阪十三の映画館・第七 藝術劇場が12月17日(土)から再開されるそうです。
 映画も文化、街の映画館も地域の文化だと思います。
 とりあえず、良かったです。
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