06/04/14 東京大空襲の語り部
インターネット新聞「JANJAN」に作家
で「東京大空襲・戦災資料センター」の館長をされている早乙女勝元さんの「記憶から記録・追体験へ」という映像が掲載されています。
是非、ご覧ください。
その早乙女勝元さんの話を大和修さんが「映像配信東京大空襲を語る（５）早乙女勝元さんの話」という文章にまとめておられますので引用させてもらいな
がら紹介します。
早乙女勝元さんは１９３２（昭和７）年、東京生まれで、１２歳の時に東京大空襲を経験。働きながら文学を志し１８歳の自分史『下町の故郷』が直木賞候補
に選ばれています。
その後は作家活動に専念され、１９７０年「東京空襲を記録する会」を結成、『東京大空襲・戦災誌』が菊池寛賞を受賞。２００２年に江東区北砂に「東京大
空
襲・戦災資料センター」を
オープン、館長就任。
庶民の生活と愛を書き続ける下町の作家として、また東京空襲の語り部として、未来を担う世代に平和を訴え続けておられます。
主な作品に『ハモニカ工場『東京大空襲』』『早乙女勝元自選集』（全12巻）『生きることと学ぶこと』『戦争を語りつぐ』
『戦争と子どもたち』『図説・東京大空襲』等多数。
◆東京大空襲
「太平洋戦争下、首都東京は米軍機による約１３０回の爆撃・空襲をうけた。Ｂ２９爆撃機による空襲は１９４４年（昭和１９年）１１月に始まり、はじめ都
下の飛行機工場などが狙われたが、４５年２月以降は都市部が狙われる、無差別爆撃にかわった。
３月１０日未明、下町の江東地区がＢ２９約３００機による空襲をうけ、炎と恐怖の３時間あまり、死者１０万をこす被害を出した。歴史上、こんな悲惨な”
戦場”はかつてなかった。空襲・戦災は山の手・城南地区から多摩・島嶼地区に及び、２０年８月１５日の敗戦までに、都民２００万が罹災して焼け出され、
１０万余の人が生命をおとしたのだった。
なお、東京大空襲とは３月１０日大空襲をさすことが多いが、１３０回にのぼる空襲全体を包括していう場合もある。」（引用）
◆人間的な想像力
「人間的な想像力がとても大事な時代になったと思う。つまり人の身になって考える力だ。仮りにそれが海のかなたであったにしても、それから大阪で空襲を
体
験したひとが東京はどうだったろう（と思う）、東京空襲でいえば大阪も名古屋も全部の日本中の都市が戦火の瓦礫のなかに埋もれていたわけだから、そういう
人たちの痛みに対する思いというか」（引用）
今も世界のどこかで小さいものや力のないものが戦争の犠牲になっています。日本が派兵しているイラクでは開戦からMax３８，２８０人〜Min３４，
１３９人の市民が殺されています。イ
ラクボディカウントより。
兵隊もアメリカ軍：２，３６９人、イギリス軍等を合わせると２，５７７人が犠牲になっています。http://icasualties.org/oif/
◆なぜアメリカは民間人を無差別に殺したのか？
無差別爆撃は国際法「ハーグの空戦規定」というもので禁止されていたそうですが、アメリカ軍が日本の都市を無差別に爆撃した口実は「日本の民間人は軍需
生産に携わっている」というものだそうです。
日本の政府がアメリカに無差別攻撃の口実を与えてしまっていたのです。
◆歴史の中の無差別爆撃
日中戦争の初期に中国の重慶への日本軍の無差別爆撃の犠牲者は２万人とも２万４千人とも言われています。
ドイツ・ドレスデンへの爆撃は１９４５年２月にイギリス軍によって行われた。犠牲者は３万５千人説と１３万５千人説があるそうです。
１９３７年のスペインのゲルニカへのナチスの爆撃により、人口３，０００人の小さな町で，死者１，６５４人，負傷者８８９人を出しています。
◆日本各地への空襲
東京大空襲の他に日本の大中都市のほとんどがアメリカ軍の無差別爆撃の標的とされました。
◇１９４４年６月には北九州八幡製鉄所への爆撃
◇１９４４年８月、疎開船「対馬丸」が撃沈
◇１９４４年１０月１０日、那覇市は米海軍機のべ９００機による本土初の本格的都市空襲をうけ、死傷者約８００人
◇１９４４年１１月、東京・名古屋の飛行機工場を空襲
◇名古屋は１９４４年１２月１３日〜２０年４月まで９回にわたり激しい大空襲を受けた。
◇大阪は１９４５年３
月１４日、６月１日、８月１４日に大空襲を受けた。
◇神戸は１９４５年３月１７日の大空襲で最悪の被害率（死者８８４１人）を出した。
◇横浜は１９４５年５月２９日午前、Ｂ２９機
５００機による大空襲を受けた。
◇６月１７日以降、Ｂ２９が１００〜１５０機に分かれ、本土の中小都市を２、３都市ずつしらみつぶしに爆撃するようになった。
広島、長崎への原爆以外にも静岡、豊橋、福岡、水島、岡山、延岡、平塚、沼津、桑名、大分、福井、日立、銚子、津、青森、水戸、八王子、長岡、富山、前
橋、高崎、豊川、熊谷と日本ののほとんどの都市が被害を受けています。
以下、早乙女勝元さんの言葉を引用させていただきます。
◆「東京大空襲はひと言で言えば大量虐殺だ。２時間で１０万人もの人が死んだことは災害も含めて例がない。後の広島、長崎をのぞけは、人類史上初の大量虐
殺といったらいい。そのこと自体が容易に未だ伝えきれていないという気がする」（引用）
◆「大事なのは社会的弱者がどういう目にあったかを知ることだ。小さいもの弱いものがあの戦争でどんな目にあったかを知り、学ぶことがこれからの２１世紀
への平和への力とどこかで結びつくと思う」（引用）
戦争を知らない（戦争中に３歳以下だった人を含めた戦後生まれの人）は２０％以下だそうです。
戦争を体験して「戦争はもうコリゴリだ」という人がどんどん少なくなっています。
私は「戦争が終わって生まれた」世代です。「平和の歌」を絶やさないで歩いていきたいとおもいます。
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