06/08/31
テロとの戦い
明日から9月、日暮れての帰り道にはい
つの間にか虫の声が聞こえるようになってきました。残暑も幾分和らいできたように感じるこの頃です。
ブッシュ・アメリカ大統領は、9・11以降「テロとの戦い」をお題目のように唱えていて、「テロ
との戦い」を名目に他国に侵入し罪もない人々の殺戮を繰
り返しています。
ブッシュ大統領の忠実な下僕である小泉首相は、日本の公務員として守らなければならい最高法(憲法)を踏みにじってまで「テロとの戦い」のために自衛隊
を戦地に派遣してきました。
◇日本国憲法
第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段
としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
第99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
◇01年10月:アメリカ・イギリスは、アフガニスタンへの空爆を開始した。
◇01年11月:小泉内閣は、自衛隊をアメリカ軍の支援のため戦争状態のインド洋に始めて派遣した。
◇03年3月:アメリカ・イギリスは、イラクが大量破壊兵器を隠し持っているとの口実の元にイラクに侵攻した。
◇04年1月:小泉内閣は自衛隊を戦闘状態にあるイラクへ派遣した。
さて、下記の事件はテロではないのでしょうか?
◆加藤議員・実家放火事件
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8月15日午後、山形県鶴岡市にある自民党の元幹事長加藤紘一さんの実家から出火し住宅と事務所を全焼した。火災現場には割腹自殺を図ったと見られる男
が倒れていた。
加藤さんはこれまで、小泉首相の靖国神社参拝をめぐり「参拝すべきではない」「個人の心の問題と考えること自体、大きな錯誤であり、外交問題だ」など批
判的
な
発言を繰り返しており、小泉首相が参拝した15日もテレビ各社に出演し持論を述べていました。
「加藤紘一氏の実家が全焼 男が放火、割腹自殺図る」(朝日新聞 06/08/15)
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◇割腹自殺を図った男の身元は、当日中には氏名、所属団体などまで特定されていて、翌日には山形県警と警視庁は東京都内の右翼団体の事務所2ヶ所を家宅捜
査しています。
◇17日には、漆間警察庁長官が「加藤議員の発言から、右翼団体の反発が予想され、山形県警も当日、異常がないか連絡を取っていた」と警戒をしていなが
ら、事件が発生したことについて「なぜ事前に情報を取れなかったか検証すべきだ」と発言しています。
「『検証必要』と漆間長官 加藤議員の実家火災」(西日本新聞 06/08/17)
漆間長官の発言を穿って取れば、加藤さんの従来からの発言や当日の小泉首相の靖国参拝から、加藤さん周辺への右翼テロが予想されていた。にも関わらず警
察は、テロの動きを見逃していた。或いは見てみぬ振りをしていたと読み取ることも出来ます。
◆「テロとの戦い」にだんまりを決め込む首相官邸と自民党
◇小泉首相は、15日の靖国参拝後の饒舌なおしゃべりとは反対に、加藤議員へのテロについては何も語りません。
総裁候補の官房長官からも、自民党内からも何も聞こえてこない異常な状況が続きます。
また、そのような官邸と自民党の沈黙を批判的に書いた記事は下記の東京新聞の記事としんぶん赤旗(加藤氏実家 放火事件
官邸沈黙 批判の声:06/08/20)の記事しか見当たりませんでした。
◇東京新聞の記事によりますと自民党内で目立った発言をしていたのは下記の3氏だそうです。
▽谷垣禎一:「何らかの思想的な背景があってということであれば、極めて言語道断」
▽山崎拓:「暴力で言論を封ずる風潮の顕在化
で、重大な問題だ」
▽逢沢一郎:「仮に悪意を持った行為であるとすれば、まったく容認できない」
さらに同記事では、首相官邸の動きについても下記のように書いています。
「首相官邸では小泉純一郎首相、安倍官房長官とも十五日午後から夏休みに入り、公式な反応は一切なし。政府として声明や談話も出していない。」
「久間章生総務会長は『狙われたのが(加藤氏)本人なのか事務所なのか、警察が事件の背景を捜査している段階だ。そこが分から
ないと』と話す。」
と惚けたことをほざいています。
政府も自民党も「テロと戦う」などと誰も思っていないのですね。
「テロとの戦い」というお題目が宗主国の大統領へのお追従と、自衛隊の戦闘地域への派遣への口実にしか過ぎなかったことが明らかになりました。
東京新聞はこの記事の最後に「デスクメモ」として、ナチス迫害を体験した政治哲学者、故ハンナ・アーレント氏の言葉を紹介しています。
「『人々にとっては、時代を分ける分割ラインを踏み越すときにそれと気づくことなどほとんどないのです。ラインにつまずいた後で初めて、この分割ライン
は過去に後戻りできない壁になるのです』。言葉の重みをかみしめる。」
「加藤元幹事長実家放火 党内忘却モード」(東京新聞 06/08/25)
◆ようやく小泉発言
小泉首相は、28日、中央アジアへの卒業旅行?或いは慰安旅行?の出発前に2週間の沈黙を破って加藤議員へのテロについて言及したそうです。
▽「暴力で言論を封じるということは決して許せることではない」
▽「この件については、厳に我々も注意し、戒めていかなければならない。言論の自由がいかに大切か分かるように注意していかなければならない問題だ」
▽「聞かれれば答えるが、事件が不確定な中で政府として正式なコメントは出せない」
イラクに大量破壊兵器の有無が確認できない状況下で自衛隊の派遣を決めるような人が「政府としてコメント」できないとは笑止千万であります。この男の品
性とはこんなものなのですね。
「加藤氏実家放火:小泉首相が初コメント『許せない』」(毎日新聞 06/08/28)
そして、小泉首相が外遊中のタイミングを計ったかのように右翼の男の逮捕が発表されました。
◆マスコミはどこを見ているのか
マスコミの報道姿勢も問われなければなりません。
首相や自民党内のだんまりを報じていたのはごく一部でした。誰に遠慮をしているのでしょうか?
テロの標的にもなれない日本のマスコミです。
下記はGoogle Newsで「加藤紘一&放火」で検索し、日付別にヒット件数をカウントしてみました。
※日付毎の集計は前後の日に誤集計されているかもしれません。
◆加藤紘一さんのインタビュー記事
インターネット市民新聞「Ohmy News」に加藤紘一さんへのインタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
インタビューアーは鳥越俊太郎さんです。
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