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07/02/22 映 画「長い散歩」
 奥田瑛二さんの監督第三作目の「長い散歩」 を見てきました。

 定年退職した男は妻を亡くし、家を捨て郊外のぼろアパートでの一人暮らしを始めます。
 家具もないがらんとした部屋で男の生活が始まります。
 隣の部屋には、水商売風の女が幼い少女と暮らしています。

 少女はダンボールで作った「天使の羽根」を背中につけています。
 男は、女と少女そして情夫のすさんだ生活、少女への虐待を目にします。
 地獄のような暮らしの中から少女を連れ出します。虐待を受け続け心を閉ざした少女との「散歩」が始まります。

 母親からの申告を受けた警察は、男を誘拐犯として指名手配して行方を追います。


◆ 身につまされること
 身につまされることの多い映画でした。

◇家族を省みない父親
 家族を省みないで仕事に没頭して生きてきた男、そんな男に妻は心は病みアルコール依存症となっていきます。

 私も家庭を省みないで生きてきました。
 仕事に没頭(逃げる?)ことが男らしいことだと思っていました。馬鹿げたことでした。

◇独居
 男が妻の死後、家を娘に譲ると言いおいて出て行くわけはなんだったのでしょう。
 妻や娘への贖罪だったのでしょうか?
 アパートでの生活は、家具もなく、小さな書棚に愛読書、妻の位牌、最低限の調理具、質素な生活です。

 最近、主たる職場が福岡市になり、大阪と福岡を行き来することが日常的になっており、職場の近くの公団アパートを社宅風に使っています。
 1DKの部屋には、家具は何もありません。最低限の夜具と調理具のみで週に何日かを生活しています。
 老人の一人暮らしは何とはなしに心寂しいものです。

◇決意
 隣室の少女の虐待を知った男はある日決意します。
 ジョギングを初め、青竹で素振りをし、河原の石を持ち上げ体力をつけていきます。
 少女との逃避行(贖罪の旅)への準備だったのです。

 体力の衰えを日に日に感じており、決意というほどでもありませんが、福岡泊まりの朝は部屋から数分の海岸に出て30分から1時間ほど散歩をしています。


◆気になったこと
 映画を見ていて気になったことをいくつか。

◇行方不明の相談は刑事課?
 母親は少女が家を出て帰らなくなった数日後、警察に相談?に行きます。
 相手をするのは私服の警察官です。この警察官は後に男を追う「刑事」という設定でした。

 「今日も帰って来なかったら、本格的に調べるか」などとのんびりしたことを言っていました。

 家出人の捜査依頼は警察署の生活安全課が扱うのだと思っていました。生活安全課の警察官は制服を着ているはずです。

  家出人の捜査 依頼を刑事課の刑事が受け付ける必然が分かりませんでした。

◇違法捜査など
 男を追う刑事は不法捜査を繰り返します。
 管理人に男の部屋を開けさせ、管理人に断らずに部屋に上がりこみ室内を物色します。
 家宅捜査令状無しに他人の部屋の中を調べるのは明らかに違法です。

 男を指名手配した後、娘宅を訪問した刑事は男からの手紙を黙って持って帰ります。(盗みです)

 違法捜査を違法と認識して繰り返す警察官を登場させるような映画はいただけません。


◆十三の居酒屋
 大阪の下町・十三(じゅうそう)での映画の帰りには、路地の居酒屋での一杯が楽しみです。
 吾菜場(あなば)、十三酒場がお気に入りの店です。
 どちらも猥雑さは折り紙つきです。吊り下げられたテレビの競馬中継に熱中する人、ハイキング帰りのグループ、明らかに堅気でない人たち、飲み疲れ目のト ロンとした依存症の人、声高に話す人たち、タバコの煙、、、
 愛すべき酒友であります。
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