08/05/08 映画「onceダブリンの街で」
子どものころ、音の出るものは
小さなラジオだけでした。
どんな放送が流れていたのか、ニュース、戦争で行方不明になった人を探す「尋ね人の時間」、歌謡曲も流れていたのでしょうが記憶にありません。
音楽にはまったく縁の無い子どもの時代、そのまま音痴で成長してしまいました。楽譜も読めませんし、楽器を触ることが出来ません。
最近は、映画を通して音楽を知り、自室ではミニコンポ、外出中はデジタルプレーヤで、雑多なジャンルのCDを聞くまでに
成長?しています。
そんな私には、音楽を操れる人たちは憧れでもあり、別の世界の人たちです。
映画「 ダブリンの街角で」は、音楽
を操れる人たちの物語です。
舞台はアイルランドの首都・ダブリンの街で、自作の歌を歌うストリートミュージシャンの男と、一人の女が出会い音楽を通しこころを通わしあうしっとりと
した映画
です。
男は恋人と別れ実家に戻り、父親の掃除機修理店を手伝いながら歌を作ってプロを目指しています。未だ別れた恋人に未練が残っています。
チェコからの移民の女は、雑誌・ビッグイシューや花を売り歩いたり、家政婦をしながら娘と母親との生活を支えています。女の楽しみは昼休みに楽
器店が貸してくれるピアノで好きな曲を弾くことでした。
楽器店のピアノと男のギターで、セッションをする二人でした。
男は音楽で生きていくために週明けにロンドンに渡ること、デモCDを一緒に作らないかと誘います。
スタジオの使用料3000ユーロ(約48万円)を2000ユーロに
値切り、銀行に金を借りに行き、ストリートバンドをスカウトし、みんなで練習をと慌しく過ぎていきます。
男はレコーディングが済んだ後、一緒にロンドンへ行こうと誘いますが、女は返事をしません。出発の日、女のアパートを訪ねますが留守でした。
男は別れた恋人の住むロンドンに旅立っていきます。
二人の関係は、親密になりそうな雰囲気を保ちながら、一定の距離を保っていました。「音楽」を介しての深い友情が愛情に変化しなかったということでしょ
うか。
見終わった後に爽やかな感じがしました。好意を持つ男と女が悲恋ではなく結ばれないことも。
プロモーション映画かと思うほどに、たっぷりと音楽が聞ける映画でした。サントラ盤「ONCE」を買って聞きたいと思いました。
◆1800万円
この映画の制作費は約1800万円、撮影日数は17日間だったそうです。
アメリカで公開され好評を得て、アカデミー賞のオリジナル歌曲賞を受賞するまでになった映画です。
◆ミュージシャン
ストリートミュージシャン役のグレン・ハンサードと、監督のジョン・カーニーはアイルランドのロックグループ「ザ・フレイムス」のメンバー、女役のマル
ケタ・イルグロヴァはチェコ在住のシンガーソングライターと現役のミュージシャンたちが作った映画です。
実際に、プラハに来たグレンとマルケタが出会い一緒に演奏し始めたことから、今回の映画の共演となったそうです。
◆コンビニ
男から自作の曲に詩をつけてくれないかと言われ、借りていたCDプレーヤーの電池切れとなり夜中にアパート近くの店に買いにいきます。雑貨屋のような店
先には子どもたちがたむろしていて日本のコンビニの雰囲気でした。
◆移民共同生活
豊かなアイルランドには、旧東欧からの移民が増えているようです。
女の部屋に突然、数人の男が入ってきます。
テレビがある部屋に集まって、テレビを見ながら英語の勉強をするのだそうです。
電話も、部屋には無く呼び出しの取次ぎのようでした。
◆名前
主人公の男女を含め主演者に名前がありませんでした。(女の子どもとレコーディングエンジニア以外)
名前は必要の無い映画でした。
◆アイルランドのお国柄
◇掃除機
二人が始めて出会った日、男の仕事が掃除機の修理屋だと知り、自宅の掃除機の修理を依頼します。翌日持ってきた掃除機をゴロゴロと引き摺りながらダブリ
ンの街を歩いていきます。
大都会(人口は50万人程度)の街中を犬の散歩のように歩いていく絵は滑稽でした。
長閑な国なのでしょう。
◇バス
レコーディングの準備に奔走する二人はバスで移動します。
後部座席に座って、ギターを弾きながらつい大きな声で歌ってしまいます。そんな二人を見てお婆さんの客はクスンと笑うだけです。こんなところも中々ゆっ
たりとしたお国柄が出ていました。
◇銀行の融資係
レコーディングスタジオの使用料を借りに訪れた銀行の融資係は、古くて大きなテープレコーダから自作の曲を再生しながら融資を頼み込む二人に、男のギ
ターを
取って歌いだします。
自分も音楽が好きだから金を貸そうという意思表示でした。
◇花売り
大きな商店街のような街路で花を一輪、一輪売って歩く商売も不思議な光景でした。
◆ビッグイシュー
ホームレスの生活支援のための雑誌・ビッグイシューははロンドンが発祥です。日本でも売られていてたまに買う雑誌です。
アイルランドでは貧しい移民も販売員となっているようです。。
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