08/09/24 教育と貧困
相変わらず、絶不調な状況が続
いています。
テレビの街頭インタビューや、新聞の投書欄はメディア側が直接言えないことを市民に代弁させていると思っています。
そんな目で新聞やテレビを見聞きすると、彼らの言いたいことがよく分かってきます。
先日の朝日新聞(9月23日付・大阪本社版)の投書欄に、橋下大阪府知事が全国学力テス
トの結果の公表を市町村に迫っていることに対し、「教育の独立を忘れてはならぬ」(川上雅詮・京都市)と題する投書が掲載されていました。
投書の最後の部分を引用します。
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予算権をかさにきて、教育に介入することは許されない。こうした権力の行き着く先は、子どもたちを特定の方向に駆り立てる「いつか来た道」ではないか。
マスメディアもこの本質に迫ってほしい。
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まさにそのとおりです。
関西のメディアは相変わらず橋下批判はご法度の「橋下ヨイショ」の翼賛報道体制ですが、少しずつ変化が現れているようです。
さて、橋下府知事は、学力テストの成績を市町村教育委員会が公表
し、市町村間、ひいては学校間の競争を煽り「頑張れば」学
力は向上すると思っているようです。
富裕層の子どもと貧困層の子どもで学習の機会や環境が大きく違うことは容易に想像でき
ることではないでしょうか。
みずほ情報総研のWebサイトのコラムで藤森克彦さんは、OECD(経済協力開発機構)の国際学習到達度調査(PISA)の結
果について下記のように述べています。
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PISA調査によれば、経済状況や勉強机・書籍の提供状況など、家庭の学習環境と生徒の得点の間には強い相関がみられるという。日本では90年代後半以
降、失業や倒産などが増加した。03年から習熟度の低い生徒の割合が急増した背景には、こうした親の事情によって潜在的な能力を発揮しにくい環境に置かれ
た生徒の増加があるのではないだろうか。
この点英国では、2020年までに「子供の貧困」を根絶することを政府の重要目標としている。この背景には、親の収入格差が子供の学力格差
につながるなど、階層の固定化を懸念していることがある。そのため、子供を有する失業世帯や一人親世帯に対して、就労支援、社会保障給付の拡充、税制優遇
措置などを行っている。日本では「子供の貧困」に対する問題意識が低いが、PISA調査を契機に学力格差との関係を調査して、有効な対策を講じる必要があ
ろう。
こうした学力の底上げに向けた取り組みは、国全体の学力水準の向上にもつながる。国の平均点を高めるには優秀な生徒を伸ばす方が効果的だと
考えがちであるが、実はフィンランドをはじめ上位国は、習熟度の低い生徒の割合が著しく小さい。これは、PISA調査から導かれるひとつの重要な示唆でも
ある。
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貧困と学力には明らかな相関関係があります。右図は全国
学力テストの成績と生活保護の関係を表にしたものです。
赤線(生活保護率)が上昇すれば、学力(青線)が低下しています。
大阪府の学力テストの成績が全国平均を下回っているということは、大阪府民が全国平均を下回る生活を強いられているということ、そして府民生活の向上、
子どもたちの健全な発達のためにこそ、政治が力を注ぐべきことだと思います。
<図表の説明>
全国学力テストの成績(青点)の高い都道府県順にプロットし、その都道府県の生活保護率を赤点でプロットしています。(左目盛)
青線、赤線はそれぞれの近似曲線を描いています。(右目盛)
▽全国学力テストの都道府県別は、毎日新聞の記事によった。小学校、中学校、国語、算数の正答率の平均値を算出した。
▽生活保護率は、社会実情データ図録によった。生活保護世帯ではなく、保護人員の人口千人比です。
◆差別主義者
差別主義者・麻生太郎氏が自民党総裁となり、総理大臣となったそうです。
先にも書きましたが、このような差別主義者を党の代表にいただく政権党とは情けないことです。また、国民も。
今週のマガジン9条の「週間つぶやき日記」に、毎日新聞に掲載された野中広務・元自民党幹事長のインタビュー記事「もの申す!:自民党総裁選/1 野中広務・元自民党幹事長」(毎日新聞 08/09/17)が
紹介されていました。
麻生太郎氏に関わる部分を引用します。
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◇麻生氏、資質に疑問あり
◇現情勢は麻生太郎幹事長が優勢です。
◆5人も立って迫力、緊張感がなくなった。麻生さんのしゃべり方は受けるかもしらんが、党員が本当にそう思うかどうか。報道の仕方も問題がある。
◇野中さんは現役時代から麻生さんに厳しかった。
◆人権を踏まえた視点がありますか。華麗な家柄だけど、人を平等に考えない。国家のトップに立つ人として資質に疑問がある。
安倍晋三前首相と福田康夫首相が辞める時、2度とも事前に打ち明けられたのに、善後策も講じないで一番先に自分が手を挙げた。幹事長の職責が分かってい
ない人だ。
◇政策はどうです。
◆構造改革路線だった人が、景気回復を具体的にどうやるのか。経済対策をやりますと言うだけでは駄目だ。補正予算を成立させて、年末年始の地方議会に間
に合わせないと国民に浸透しない。臨時国会冒頭解散なんてやったら、すぐはげて、深い傷を負う。
◇総裁選効果で衆院選は自民党が有利になりますか。
◆補正予算を通すなど、やることやれば、過半数は取れるでしょう。でも、ここはいったん民主党に政権を渡すのも一つの方法だと思う。できれば衆院選後、
政界再編が起きてほしい。衆参のねじれと自民党の状況を見てたら、政界再編やらなきゃ課題解決はできないじゃない。
◇民主との大連立はあり得ますか。
◆それよりも、与野党とも右傾化する中で、二度と戦争をしない日本をつくる基軸となるような人たちの集まりをつくるチャンスじゃないか。ガラガラポン
やった方がいい。
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麻生氏の政治家として資質の問題、メディアの問題、与野党の右傾化、不戦の日本と中々示唆に富んだ発言でした。
週刊誌も麻生氏の「裏の顔」を取り上げています。
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<総裁選の「闇」を撃つ!>
「野中広務を激怒させた人権感覚」
この男は宰相の器なのか
麻生太郎の「部落差別発言」と
朝鮮半島出身者「強制労働」という問われる過去
「私は絶対許さん」――野中氏の告発ばかりか、『韓国日報』の社説の「日帝植民地時代の強制動員で悪名高かった麻生炭坑の後継者」批判ほかが、総裁本命
候補を直撃
9月22日に投開票が行なわれる自民党総裁選は、本命候補である麻生太郎・幹事長の独走状態だ。だが、遊説先で満面の笑みを振り撒く麻生氏の「過去」に
は看過できない問題がある。支持率回復を狙った“バカ騒ぎ総裁選”を隠れ蓑に、このまま首相の座に就くことが、果たして許されるのか――。
---------------------------(週刊
ポスト08/10/03)
◆世襲内閣
内閣の世襲率は、福田内閣:1.6、福田改造内閣:1.9と増加傾向
でしたが、今回の麻生内閣では2.1にに増加しました。
政治家はよい金儲けが出来るようで、皆さん高学歴で早々と政治家の道を進みめでたく御大臣となられました。
※世襲の無い人を1、2世を2、、として平均値を世襲率としてみました。
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