08/11/22 佐野洋「死者の電話」
日本推理作家協会が毎年発刊している「推理小
説代表作選集」から、さらに選り抜きを選ぶという企画です。
第1弾は東野圭吾さんが、第2弾は宮部みゆきさんが選者だったそうです。
佐野洋さんの「死者の電話」が所収されている第3弾は恩田陸さんが選んだ「謎003 ―スペシャル・ブレンド・ミステ
リー 」です。
「死者の電話」以外の収録作品は以下のようで、仁木悦子さん、戸川昌子さんなど懐かしい名前も並んでいます。
追々と紹介したいと思います。
◇仁木悦子さん「一匹や二匹」
◇戸川昌子「眠れる森の美女」
◇天藤真「純情な蠍」
◇高橋克彦「奇縁」
◇馬場信浩「アメリカ・アイス」
◇長井彬「帰り花」
◇阿刀田高「マッチ箱の人生」
相変わらず佐野洋さんのミステリーはおしゃれです。
娘の利江子はすでに嫁ぎ近々出産の予定である。そんな杉井の家に利江子の婚約者だった川端と名乗る男から電話があった。
およそ2年前、川端は利江子と婚約したがロスアンゼルスに転勤となって単身渡米した。そして、その3ヶ月後にアメリカで急病死している。
川端を名乗る男の詐欺だろうかと夫婦は心配していたが、二度目にかかってきた電話にでた杉井は家に来ないかと誘った。男は杉井宅に来るという。。。
川端の親が利恵子との縁談を嫌い川端を死んだという芝居を打ったのではないかと推理しましたが、そう簡単なストーリーではありませんでした。
テンポの良い展開にはどんどんと引き込まれていきます。
男にとっては苦い、あるいは少しほろ苦いエンディングでした。
◆正しい日本語
佐野洋さんは、言葉使いに厳しい方です。ミステリー評論の「推理日記」はもちろんのこと、作品の中でも登場人物の口を通して語らせています。
今回も、杉井の口を通して現代の言葉使いを戒めています。
「わかりました。ここからですと、四十分くらいは、かかると思いますが・・・」という会話で「わかりました」は「かしこまりました」「ではうかがわせて
いただきます」と使うべきだと。
「最近の若い人たちの語法らしい。私の会社でも新入社員たちが、上司から仕事を命ぜられると、この『わかりました』を口にすることが多い」(初出は
1981年です)
この文章も含め、文章力のまったくない私には恥ずかしいことです。
◆「テロ?」報道は下火に
さいたま市の元厚
生省事務次官夫妻殺害事件、東京都中野区の元事務次官の妻刺傷事件を声高に「連続テロだ」と騒いでいたマスコミの論調が少しずつ変わりつつあるように思い
ます。
その他気になることを。
◇元警察官僚や、警察OBの発言は個人的な恨み説まで出てきています。
◇目撃情報が色々と報道されていますが、神戸連続児童殺傷事件をはじめ今までも目撃情報がミスリードを招いた事件は数多くあります。
◇二つの事件は「同一犯による連続事件」の見方がありますが、この捜査は「合同捜査本部」ではなく「共同捜査本部」だそうです。「犯罪捜査共助規則」を読んでみると、合同捜査本部の方がより一体化した体制のように思いましたが。
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