08/12/21 映画「リダクテッド 真実の価値」
バグダッドを訪問しマリキ・イラク首相との記者会見に臨
んでいたブッシュ大統領に靴を投げつけた記者は「これが別れのキスだ、犬野郎」「夫を失った女性、親を失った子供たちからの贈り物だ」と叫んだと伝えられ
ています。
◇イラク戦争でのアメリカ兵士の死者は4,209人です。
※12月18日現在:イラク戦争におけ
る米軍および有志連合軍の死傷者
◇対してアメリカ軍らの軍事行動により死亡したとメディアに報道された市民の数は89,892〜98,151人だそうです。
※12月19日現在:IRAQ BODY COUNT
映画「リダクテッド 真実の価値
」を紹介します。
この映画はイラク・サマラで検問所を警備する若い兵士たちの正気と狂気を描いていますが、この検問所で殺されたイラク人は2,000人、明らかに「敵」
だったのはわずか60人だったそうです。
4,209人 対 89,892人
60人 対 2,000人
この数字をどう見ましょう。
2006年3月イラクのサマラで、アメリカ兵4人が14歳の少女をレイプし祖父、母、妹とともに殺害し焼き払った事件を題材にしているのだそうです。
大学の映像部に入学したいためにビデオ・ダイアリーを記録している兵士、弁護士の兵士、文学青年、南部出身の過激な刑務所に入るか志願するしかなった兵
士らが検問所で行き交う人や自動車を検問してます。
検問所は自爆テロや狙撃の格好の標的となっていて緊張を強いられた任務が続きます。
妊婦の妹を医者に運ぶために制止を聞かず進入してしまった車に、自爆テロだとの恐怖から発砲し妊婦を殺害してしまう兵士。
瓦礫の中に置かれた偽装爆弾の爆発で曹長の壮絶な死を目の前で目撃してしまう兵士。
どんどんと狂気に陥る兵士たちは、性欲のはけ口を求めて民家に押し入って少女をレイプするのでした。
犯罪を犯した兵士、止められなかった兵士。。。
カメラワークが斬新な映画でした。
映像は、兵士のホームビデオの映像、複数
の軍の監視カメラ映像、取材記者のカメラ映像、武装集団のカメラ映像、家族とのチャットの映像、Youtubeの映像など、ドキュメンタリー風な作りで緊張感のある映画でした。
「イラクではマス・メディアは政府の広告塔に成り下がった」とブライアン・デ・パルマ監督は言う。
ラストシーンで殺害あるいは傷つけられたイラク市民の本物の写真が何枚も映し出されるが、映画会社は監督に訴訟を恐れて目を塗りつぶすように要求したそ
うです。
私たちはメディアを信頼してよいのでしょうか?
地域医療に尽くされた諏訪中央病院名誉院長の鎌田實さんが自身のブログ「なげださない
」で、この映画について描かれています。
--(部分引用)-------------
娘と一緒に映画を見ながら、だから戦争はいけない
んだ、ということを何度も何度も確認してしまった。
なぜ、戦争はいけないのか。
人間は、獣の脳をもっている。
恐怖におののき、怒りを爆発させるのは、大脳辺縁系とい
う獣の脳である。
検問所で、無差別テロや自爆テロの恐怖におののきながら
任務につく兵士たちが、ほんのちょっとしたことで逆上する場面がある。
まさに、獣の脳が暴れだし、コントロールを失っている姿
だ。
また、爬虫類の脳といわれる視床下部には、攻撃欲と性欲
の中枢が隣り合っている。
戦争という暴力のなかにいると、異常なセクシャルな行動
に出てしまう確率が高くなるのだ。
これらの獣の脳や爬虫類の脳が暴走しないように、前頭葉
という大脳皮質がある。
人間は、ここにいつもいい刺激を与えていないといけない。
しかし、戦争になると、この大脳皮質がセルフコントロー
ルを失っていく。
だから戦争は、どんなことがあってもいけないのだ。
---------------------- (獣
の脳を描く映画「リダクテッド」)
どんなことがあっても戦争
をしてはいけないと、つ
くづく思う映画でした。
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