09/01/21
朝日俳壇、歌壇より
19日付け朝日新聞の朝日俳壇、朝日歌壇より気になった句や歌をいくつか紹介します。
俳壇と歌壇をざくっと見渡すと、歌壇には社会問題を詠んだものが多く見られます。(俳壇1句、歌壇13首)
俳句と短歌の様式の違いなのか、歌人と俳人の違いなのか、選者に拠るものなのでしょうか?
◆朝日俳壇
◇少年の自転車で来し年賀状(郡上市・曾我部真理子:長谷川櫂選)
小学生のころ新聞を配達していました。家の明かりが灯りかけた朝早い田舎道を悴む手を揉みながら歩いたことを思い出しました。
◇外套をわが影のごと吊るしけり(横須賀市・佐藤博一:大串章選)
厚手の生地で作られた「外套」、脱いでも人型が残るようです。
◇杖曳いて枯野の人となりにけり(松戸市・大井東一路:大串章選)
杖は突くものと思っていて「杖を曳く」の意味がわかりませんでした。旅をするだそうです。
奥の細道にも「その跡見んと雲岸寺に杖曳けば」という句があるそうです。
枯野に同化してフェードアウトしてみたいものです。
◇白菜の石垣のごと積まれをり(春日市・白石典子:大串章選)
春日市は白菜の産地なのでしょうか?
早春の渥美半島をサイクリングしていた時、キャベツを紐も掛けずに山盛り積んで運ぶトラックを見ました。
1玉数百円でスーパーに並ぶキャベツと同じものとは思えないほどの光景でした。
◇人間の干物と化して日向ぼこ(八王子市・坂牧のぶ美:大串章選)
「人間の干物」は強烈な言葉です。日向ぼこののんびり感とはすごい対比です。
◇竜安寺石のごとくに日向ぼこ(西宮市・吉田邦男:稲畑汀子選)
雪の朝、龍安寺の石庭を見に行ったことがあります。結構な人でゆっくりできませんでした。あの庭をゆっくり眺めることができるのはどんな時なのでしょう
か。
俳句に地名や固有名詞を読み込むのはなかなか難しくて未だできずにいます。
◇柚子風呂に山の幸ある泊まりかな(大阪府・辻千緑:稲畑汀子選)7句女性句
私の旅行はほとんどが日帰り、たまの泊りはビジネスホテルです。
湯があって、海山の幸があるのんびりとした宿に泊まりたいものです。
◇ひつそりと職失ひし年暮るる(弘前市・三浦博信:金子兜太選)
「職を失ったことを声高に叫べる人たち」とは違う、失業してもひっそりと生きている。
自分を見るような句でした。
◆朝日歌壇
◇病院を出され出されてこの暮は過疎にひとり臥すパーキンソンの姉(札幌市・木下澄子:馬場あき子選)
近しい人に長い患いの人がいませんが、最近の病院は入院患者を長くとめおかず退院させるそうですね。
パーキンソン病のような病気の患者でも追い出されるのですね。
政治は弱者のため、病院は病気の人のためにあって欲しい。
◇蓄への術も知らねば群れなして時雨を飛べりかなしき目白(熊本市・高添美津雄:馬場あき子選)
人類が「蓄えの術」を知った時から貧富の差が生まれました。
蓄えの術をしらない目白のほうが幸せではないでしょうか?
◇日産をリストラになり流れ来たるブラジル人と隣に眠る(ホームレス・公田耕一:佐佐木幸綱選)
昨年はブラジル移民百周年だったそうです。
そのブラジルへ渡った日本人の子孫が日本に来て非正規雇用労働者として働き、首を斬られています。
彼らは「有給休暇」も「雇用保険」も知らされていなかったそうです。
◇不当解雇を叫ぶ人あり黙々と出社するあり門を隔てて(北九州市・四宮修:
永田和宏選)
不当解雇の支援で門前ビラを撒きました
が、社員はビラ撒きを無視し、あるいはビラの受け取りを拒否して構内に消えていきます。非正規雇用の労働者の問題はすぐに正規雇用の労働者の問題となるは
ずですが。。
最近のデモもなどを見ていると赤い旗が少なくなり、水色などの青色系が増えているのはなぜでしょうか?
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