09/02/22
「壁と卵」など
数日来の新聞(Web)などでの発言から気になるものを紹介します。
◆卵が正しくないとしても、私は卵のサイドに立ちます。
2月15日、作家の村上春樹さんは、イスラエルの文学賞「エルサレム賞」の受賞式で、イスラエル大統領らを前にした記念講演で下記のように述べられたそ
うです。
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「高くて、固い壁があり、それにぶつかって壊れる卵があるとしたら、私は常に卵側に立つ」ということです。
そうなんです。その壁がいくら正しく、卵が正しくないとしても、私は卵サイドに立ちます。
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壁は、爆弾、戦車、ロケット弾、白リン弾のこと。そして、これらによって
押しつぶされ、焼かれ、銃撃を受けている非武装の市民が卵だという暗喩です。
パレスチナ自治区への無差別爆撃をしているイスラエルへの強烈で毅然としたメッセージです。
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私たちは
皆、多かれ少
なかれ、卵なのです。私たちはそれぞれ、壊れやすい殻の中に入った個性的でかけがえのない心を持っているのです。わたしもそうですし、皆さんもそうなので
す。そして、私たちは皆、程度の差こそあれ、高く、堅固な壁に直面しています。その壁の名前は「システム」です。「システム」は私たちを守る存在と思われ
ていますが、時に自己増殖し、私たちを殺し、さらに私たちに他者を冷酷かつ効果的、組織的に殺させ始めるのです。
私が小説を書く目的はただ一つです。個々の精神が持つ威厳さを表出し、それに光を当てることです。小説を書く目的は、「システム」の網の目に私たちの魂
がからめ捕られ、傷つけられることを防ぐために、「システム」に対する警戒警報を鳴らし、注意を向けさせることです。私は、生死を扱った物語、愛の物語、
人を泣かせ、怖がらせ、笑わせる物語などの小説を書くことで、個々の精神の個性を明確にすることが小説家の仕事であると心から信じています。というわけ
で、私たちは日々、本当に真剣に作り話を紡ぎ上げていくのです。
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全文は以下にあります。是非お読みくださ
い。
「【日
本語全訳】村上春樹「エルサレム賞」受賞スピーチ」(47NEWS)
◆中川氏はろれつが回らない様子ではありませんでした。
中川昭一財務・金融大臣(当時)が泥酔会見に臨む前に、同行の記者たちと飲食を共にしていたと報道されていました。
19日の衆議院予算委員会で財務省の玉木林太郎国際局長が「私が部屋に
入った時、4名の記者が大臣と懇談していた。男性2名、女性2名。記者に所属の公表について確認をお願いしているが、2名は公表を控えてほしい、と。1名
からはまだ回答が届いてない。1名は読売新聞の記者」と明らかにしています。
「検証ローマの2日間 もうろう会見までに何があったのか」(朝日新聞 09/02/20)
読売新聞以外の3名は、所属会社も明らかにせずだんまりでしょうか?
当の読売新聞は、昼食に同席したのは「G7取材の一環であり、記者は昼食
の間、携帯電話に、原稿の問い合わせなどを受けて数回にわたり席を外したため、中川氏がワインを飲んだところは見ていません。中川氏はろれつが回らない様
子ではありませんでした。」と苦しい弁明をしています。
「中川氏会見の経緯、財務省が説明」(読売新聞 09/02/20)
ネット上では読売新聞の記者の氏名などは既に明らかになっています。
「ろれつが回らない様子ではなかった」とは、ジャーナリストとはとても呼べない鈍感な記者であることです。
このように体制に寄りかかって生きるメディアは私たちの「敵」です。
◆米国は真の民主主義国ではない
ビル・トッテンさんの言葉です。
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米国の真
の支配者は、政府を買収した大金持ちであって、一般国民ではありません。大統領はその「雇われ人」にすぎず、米国は真の民主主義国ではないのです。派手な
選挙ショーにダマされてはなりません。
米国の政治制度も、国民の意思を巧みに排除する仕掛けになっています。大統領が選挙人によって選ばれることもそうですが、憲法だって、原住民の土地を盗
んだ大金持ちがつくったものです。
最大のことは、民主党、共和党という二大政党以外はマスコミからまったく無視されることです。それは、大金持ち、財界が両党以外を認めないからです。そ
して、二大政党は、基本的に同じ「色」で、色が「薄いか、濃いか」というほどの違いしかありません。
-------------------------「米国流は日本に損ばかり」(Our World)
日本でも、二大政党間で政権を争うことが理想の政治システムのようにメディアは煽っています。
自民党と民主党にどれほどの違いがあるのでしょうか?
民主党政府になっても、弱者を守る政治が行われるとは思えません。(その確信が持てません)
前回の選挙は小泉劇場に騙され、次の選挙では二大政党の覇権争いに騙されないようにしましょう。
◆キツネはわが身をとがめず、わなを責める
標記はイギリスの詩人、ウィリアム・ブレイクと人の言葉だそうです。
朝日新聞のコラム「天声人語」が、麻生首相についてこの言葉を引用しています。
失政の責任は、「みぞゆ」の経済危機の所為で自分の所為ではないと言わんばかりの麻生さんです。
そして、麻生太郎を選挙の顔にと選んだ自民党議員は、自分たちの責任をどこへやら不人気は「麻生の所為」と「わなを責め」ています。
「選挙をしている状況ではないというが、踏ん切りをつけるための数週間なら、ちっとも長くない。」
そんな状況でないといい続けて5ヶ月、茶番を見せ付けられ続けています。
一時も早い総選挙を望みます。
「天声人語」(朝日新聞 09/02/20)
◆陳情の来庁者には一人で対応しない。職員を同席させる。
霊園造成工事を巡る汚職事件で逮捕された兵庫県宝塚市の阪上善秀市長が市長当選時の記者会見での発言だそうです。
利権を持つ人が、利害関係人と単独で会うことは危険なことです。
この市長も原則を守っていれば汚れた金を受け取ることもなかったことでしょう。
ソフトウエア開発部門で働いていた頃、納入業者との面談には部下の社員を必ず同席させるようにしていました。社員の都合が悪ければ最悪の場合は派遣社員
を同席させたこともありました。
痛くもない腹を探られないための自衛策でもありました。
「逮捕の宝塚市長、『夢は総理』カネで転落」(読売新聞 09/02/21)
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