09/04/22
裁判員制度と死刑
和歌山毒カレー事
件の上告審で最高裁は上告を棄却し、1審、2審ともに死刑の判決を受けていた女性の死刑が確定しました。自白など直接的な証拠がなく状況証拠の積み重ねた
判決です。
これで死刑確定者は100人になったそうです。「犯
罪の世界を漂う」に拠る。
各紙の社説はこの判決の課題をどう見ているのでしょう。
◆朝日新聞
◇裁判員制度が始まれば、被告が否認し直接証拠もない事件では裁判は長期化し負担が大きすぎる。
◇大阪高裁での控訴審では、マスコミの取材ビデオが証拠として採用されていますが、「それは報道の自由への大きな障害になり、結果的に国民の知る権利が損
なわれる。」としています。
◆読売新聞
◇被告が否認し動機も分からような状況で死刑を適用するの判断は裁判員を悩ます。裁判員には極めて重い負担がかかる。
◆東京新聞
◇事件にはなお謎が残されたままである。
◇被告には黙秘権がある。その上で正当な手続きにのっとり、犯人しか知り得ない事実を供述させるのが犯罪捜査というもので、死刑事件ならなおさらだ。あら
ためて警察、検察当局の捜査が力不足だったというしかない。
◆神戸新聞
◇状況証拠に頼る捜査と裁判が肯定されるわけではない。むしろ、来月から始まる裁判員制度に大きな課題を残した。
◆西
日本新聞
◇マスコミ各社の取材陣が現地に大挙して押し寄せ、メディアスクラム(集団的過熱取材)と呼ばれる状態が生じたこと。
◇いかに衝撃的な事件であろうとも、被害者、容疑者、地元住民などすべての人の人権を侵害するようなことがあってはならない。この事件は、報道のあり方を
考え直す一契機にもなった。
判決文の中に「被告は犯行を全面的に否認して反省しておらず、その刑事責任は極めて重い」にありますが、「反省して」いないから、けしからんとはどんな
人権感覚なのでしょう。被告は無罪を主張しているのですから「反省」するはずがありません。
一部の地方紙ではメディアスクラムを問題としていますが
全国紙は知らぬふりです。マスコミの取材姿勢は舞鶴の女子高生殺害事件でも改善されているとは思えません。過剰な報道に裁判員が左右されることは予想され
ることです。
私がこの裁判の裁判員に選ばれていれば、死刑の判断はできないし主張もできません。また、自分が参加した裁判で死刑の評決は大きな精神的負担となりま
す。
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