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09/10/04 山藤章二「論よりダンゴ」

 土曜の朝のテレビ 番組で亀井静香金融・郵政相がコメンテータと称する男ども(岩井奉信、高橋進、森本敏)の世の中の上っ面を撫でただけで物 ごとの本質を見ていない言動にに怒っていました。
 一言も反論できない情けない男どもでした。ああ、すっきり。

 東京都のオリンピック招致が失敗したそうです。この話もすっきりしました。招致費用が150億円とか400億円とかいわれています。
 この招致騒動を見ていて、誰のためのオリンピックだろうと思いました。結局はテレビ局や広告代理店のためのような。いずれ国民体育大会(国体)のように 静かな大会になっていってほしいものです。

 山藤章二さんの「論よりダンゴ」を紹介します。
 色々な媒体に発表されたコラムが単行本化されたものです。先日紹介(酷評?)した「人情屋横丁」とおなじ手法で作られた本ですが、「論よりダンゴ」の方 は再構成されて筆者の手が入っています。 また、各話ごとに出典と発表年月が書かれていて時代背景などを知ることができます。

 タイトルを
いろは順に並べて足りない分を書き下ろして六十余編で構成されています。署名はいろはカルタの上の句と下の句 を入れ替えて作られたのだそうです。
 
[論より][証拠][花より][ダンゴ」の 上の句を入れ替えて「論よりダンゴ」と新しい意味を持った言葉が生まれました。
 私も挑戦してみました。

◇総領の子沢山
◇塵も積もれば蓋をする

◆(へ)ヘンな話
 漢字には女篇の字が下記のように多くあります。数えてみると218文字もありました。
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奶奵奴奸好妁她奼奻如妃妄妟妎妓妍妧姊妝妌妗妥妕妒妊妣妋妨妙、妖委姁姑妻姍姉始妮姒姐妾姃姓妳妲妯妷妰妬妭・妼姄姆妹姈姲姨威姻娃姶姱姟姦姧姞姜姣姤姮 姯姿姝娀姙姪姥姷姚姴娄娟娥娨姫娭娎娪娯娑娰娤娘娠娍娜娧娞娣娚娓娉娩娒娌婀婭婬婉婐婅婞婚婇婥娵娶婌娼婕婧婆婢婦婄婪婈婁媙婣媖媛媧媓媋婿媟嫂媠婷媜媞 婾婻媒媚婺媢媬媼嫈嫁媐媿嫌嫄媾媸嫉嫋媳嫐媻媺媲媽媱媵嫆嫏嫣嫮嫦嫜嫥嫡嫩嫖嫚嫠嫪嫗嫺嫻嬉嬀嬌嫶嬈嬋嬁嫵嫽嬡嬴嬛嬙嬝嬢嬗嬖嬰嬬嬲嬭嬥嬪嬶嬸嬾孃孅孀孁 孋孌
----------------(IME辞書より)

 読めない漢字ばかりですが、
奴、奸、妄、妨、妖、妬などどちらかというとマイナスイメー ジの文字が多いのは何故でしょうか?

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 <女ヘン>の字、驚くなかれ百六十八文字、堂々二十頁にわたっている。対するに<男>は一字のみ、四分の一頁で事足りている。
 たしかに女が”産み出す存在”なのに対し、男は”一瞬の 協力をするだけの存在”でしかないが、それにしてもこの差は極端だ。
 「差別漢字改正・男ヘンをつくれ!!」運動に立ち上がろうか。
----------------(引用)

 この頃、「婦」という漢字をあまり見なくなりました。女篇に箒という成り立ちで女性に家事労働を押し付けている差別だということ、昔は女性だけの仕事に 男性 も参入したことなどから使われなくなったそうです。

◆(る)類は友を呼ぶ
 朝日新聞発行の週刊誌「アエラ」の表紙にダジャレのコピーが書かれています。

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 連休だ、そレジャー行くか。
 林家三平も天国から転がり落ちそうな”本格的ダジャレ”を毎週連発している。
 当然のように各メディア、真面目な知識人たちからヒンシュクの声が上がり、やがて治まった。ヒンシュクとか民宿とかいうのは、いっときは賑わうきどじき に静かになるものだ。
 ところで私はこのダジャレコピー戦略に対しては肯定派である。それは「羊頭狗肉」ならぬ「
肉」 を感じるからだ。
 ”こけおどしの難解な言い回しの言論ほどの内容がない、傾聴に値する言論は常にやさしく説かれている”というのが私の持論である。
----------------(引用)
 「
傾聴に値する言論は常にやさしく説かれている」には同感です。英語を多用する人たちの 発する言葉にも要注意です。

 「アエラ」のダジャレを特集した記事が日経ネットにありました。(だじゃれコピーの「
アエラ」20年
 その中で紹介されていた、民主党の小沢代表の辞任騒動後を「オザワがせしました。」と皮肉ったコピーはよくできていると思いました。

◆(わ)私の死亡記事
 山藤章二さんが独特の筆致で自身の死亡記事を書いておられます。
 市井の市民の死は死亡記事が出ることはありません。死亡広告の原稿でも書いて置きましょう。
 ところで新聞の死亡記事(訃報欄)に掲載する基準は何でしょう。企業の役員の親族の死亡記事など経済紙に任せたらよいのではないでしょうか?

◆(む)むかし男といま女
 女性の「痩身願望」は、女性を商品とみるプロパガンダであると思います。
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 ひょんなことで手にした女性週刊誌を、パラパラとめくっておどろいた。広告の中で圧倒的に多いのが、痩せる薬、食品、器具、サロンなどの痩身産業なので ある。若い娘の頭の中には痩せることしかないと見える。
------------------(引用)

 むかし男たちは痩せている女性よりポッチャリ体形の女性を好ましいと思っているとマスコミ畑のキャリアウーマンにぶつけると返ってきた言葉は。
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 女性が痩せようと努力しているのは、なにも男にもてたいからなんて、物欲しげな動機ではありません。素敵だなと思うブランド物はすべて痩身を基準に作ら れているから、それを着られる体形にならないと、まずは話にならないのよ現代では。
 それと、他人に見せて振り向かせたい、という気持は当然あるけど、その相手は悪いけど男性じゃなくて同性なの。男の視線なんてどうせみんなヤラシイ視 線、女性の体を形而下的に見てるのよ。現代の女性、すくなくとも知的な女性は、もっと肉体を形而上的にとらえている。つまり、社会で男性と伍してバリバリ やるための、メッセージとしての痩身なのよ。わかった?
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 ファッション業界などが痩せた女性を対象にしているのは事実でしょうね。しかし世の中の女性がこのキャリアウーマン氏のように全部キャリアウーマンにな りたがっているとは思えません。

◆(あ)アメリカの匂い
 少年の頃あこがれていたアメリカだったが今のアメリカの価値観や美意識にげんなりされているようです。

◇映画が粗大になっている
◇人権意識がおかしい
◇金権主義が目に余る
◇ヒステリックな健康主義
◇外食産業の跳梁跋扈

 どれも日本人が憧れていたものです。もうそろそろアメリカがすべて良いとの考えは捨てなきゃなりません。

◆(さ)散歩の効用
 山藤章二さんは「駄句駄句会」という俳句の会を主宰されているそうです。
 散歩の効用の一つとに「俳句が浮かぶ」を挙げておられます。

 暮れの句会に7キロほど歩いて出席されたそうです。
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 ちょうど御用納めの日で、道すがらの会社や商店がみんな最後の掃除をしている。その中の一軒、夫婦ふたりでやってる感じの印刷屋が仲良く掃除してる姿が 心ににとまった。
 句会の席題に「年暮れる」が出た。なにしろ血のめぐりがよくなっているからつい今しがた見た光景で早速よんだ。
 小さな店小さな掃除に年暮れる
------------- -----(引用)

 私の散歩や自転車でのポタリングでも句材を見つけるようにしています。出来上がるのは駄句ばかりですが。

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