09/12/10 反戦イラク帰還兵の会他「冬の兵士」A
アメリカ軍普天間
基地の移設問題で、早期に前政権との合意どおり移転先を辺野古に決めろ、決めないと日米同盟の危機だとの恫喝が続いています。
アーミテージ元米国務副長官は「来年の夏まで結論を待て、ということになると、ほとんどの米国人が『日米同盟は日本政府にとってあまり重要ではない、連
立政権維持の方が重要だ』と考える」と述べ、「すみやかな決定」を求めたとのことです。「普天間決着先送りを懸念=アーミテージ氏」(時事通信 09/12/08)
また、移設問題を協議する日米閣僚級の作業部会が中断されるとのことからマスコミも、日米関係を重視せよと同様の論調の大合唱です。
「普天間問題―日米関係の危機にするな」(朝日新聞社説 09/12/10)
「普天間協議中断 同盟の危機回避へ決断せよ」(読売新聞社説 09/12/10)
「沖縄の声」を大事にするというなら、沖縄タイムスの社説をどう読みどう
理解するのでしょうか?
-----------------------
13年も進展しない普天間問題ばかりか、1974年に返還合意した那覇軍港も移転先が見つからず塩漬けされたままだ。米国の不満の矛先
は、難しい移転計画に空手形を連発してきた日本政府のあいまいな態度に向けられている。米政府をおもんばかったように「早く決めろ」という主張こそ、うわ
べだけの外交・安保論ではないか。
年内決着を迫れば、県外・国外の可能性を調査する余裕はなく、唯一の日米合意案である辺野古に限定される。それでは3党連立政権が分裂の危機に陥り、デ
リケートな基地問題に対応できなくなる。
日本は米軍駐留にどう向き合っていくべきか、深い議論をしなければならないはずだ。「地理的優位性」という言葉を免罪符に、米軍基地の過重負担を沖縄に
押し付ける時代は終わったからだ。
政権交代は、この国のあり方を問い直す絶好のチャンスだ。
-----------------------「二者択一こそ日米軽視」(沖縄タイムス社説 09/12/08)
政権が変わった今だからこそ対等な日米関係を築きなおすチャンスではないでしょうか?
日本にアメリカの軍事基地はいらない。
日米軍事同盟はいらない。
自衛隊で航空機の
事故が続いています。
12月4日には航空自衛隊小松基地のF15戦闘機が車輪を出し忘れたまま着陸しようとし胴体着陸した事故は人為ミスと言われています。操縦していた3等
空佐は「下ろしたつもりだった」とたわけたことを言っているようです。
「空自小松基地F15胴体着陸:車輪出し忘れの人為ミス原因か」(毎日新聞 09/12/08)
また、8日には海上自衛隊大村航空基地の大型哨戒ヘリコプターが不時着に失敗し海に沈没し乗員3名のうち1名死亡、1名不明となっている。
「海自ヘリ墜落:機体見つかる、乗員1人も 水深100Mで」(毎日新聞 09/12/09)
哨戒機が墜落、沈没とは笑っていられません。
1つの重大な事故には29の軽い事故と300のヒヤリ・ハットがあるといわれています。(ハインリッヒの法則)
どこかに慢心がないでしょうか?民家の上での事故だったらと思うとぞっとします。
昨日に続き、反戦イラク帰還兵の会他編著「冬の兵士―イラク・アフガン帰還米兵が語る戦場の真実」を紹介します。
◆
第六章「企業による略奪と米軍の崩壊」
アメリカはベトナム戦争の時のような徴兵制を敷くこと恐れ、奨学金やボーナスを餌に「志願」する兵士を繰り返し何度も前線に送ってきた。繰り返し前線に
送られて兵士は56万5000人を超えている。また、兵士の供給に苦しむ国防総省は医学的に戦闘不適格と認定された4万3000人以上の兵士を前線に派遣
してきた。外傷性脳損傷や心的外傷後ストレス障碍(しょうがい):PTSDと診断されても前線に送られいる。
■クリストファー・ゴールドスミス(22)/陸軍三等軍曹/前線観測員/サドル・シティ(05年1月〜12月)
イラク人の遺体の写真を撮るのが私の仕事でした。写真を撮るのは身元確認のためといわれていましたが、身元確認の手続はとられませんでした。撮られた写
真はイラク人のために使われずに殺された人とは何の関係もないアメリカ人の「戦利品」となりました。故郷の友達や家族に送って自慢するためにビデオを撮る
のです。フラッシュが消えると遺体の映像が脳裏に焼きつくのです。
イラクから帰ると同じ兵舎の仲間のほとんどがひどいアルコール依存症となりました。
私たちの部隊はストロップ(下記参照)が課せられたことを知り不安になりました。精神科の診察を受けると鬱病、不安障碍、適応障碍と診断されました。明
らかに傷病兵となったわたしがその週に派遣されることになっていました。自殺を図ったことで軍から解雇されました。
※除隊延期制度。志願制の米軍を維持するため、政府の都合で契約を無視し兵役を延長すること。不当に兵士を拘束する「裏口徴兵」とも呼ばれている。
◆第七章 GIレジスタンスの将来
戦争が5年も続きイラクについてアメリカ国民が知っている事実(イラク侵略は嘘に基づいていたこと、サダム・フセインと
9・11事件とは何の関連もなかったこと、イラクに大量破壊兵器はなかったこと)を大半の米兵も知るようになった。そして
その事実と戦場での残酷な現実とあいまって多くの兵士が占領に反対するようになった。国防総省の報告によると06年だけでも5361名の現役兵士が脱走
し、9・11以降の5年間で3万7000名近くが逃亡している。さらに数千人が最初の戦闘配備から期間後ひそかに無許可離隊している。315名の陸軍兵士
が良心的兵役拒否者の認定を申請し、200名以上が国を捨てカナダ政府に庇護を求めている。
■ロン・カントゥ(30)/陸軍二等軍曹/尋問官/ファッルージャ(04年〜05年)、バグダード(06年〜08年)
2回目のイラク配置直前にIVAWに入会しました。会のホームページに記事を書き始めると現役兵がいると注目を集めることになりました。
バグダードである記者から連絡があり、近々インタービューを受けることになっていました。自分のホームページを軍に届けていなかったことで取調べを受け
ることになりました。取調べ中に記者から電話が架かってきたが司令官は「マスコミと話をするな」と命令しました。記者は「アメリカ国民に伝えなければなら
ないことを30秒だけ・・」と提案し、言いたいことを一気に話しました。生放送だったのです。すぐに司令官に呼ばれました。投獄を覚悟で司令官室に行くと
「マスコミに話すなという命令を取り消します。それはあなたの権利です」と言われた。憲法修正第一条(信教、言論、集会、出版の自由及び請願権)に守られ
ました。
重くてボリュームのある本でした。
ドキュメンタリー映画「アメリカば
んざい」の世界そのまま、いや現実は映画以上にひどい、帰還してもPTSDを病む人、ホームレス生活を余儀なくされる人、自殺する人等々。。また「リダク
テッド」では「敵」の住むといわれた家の家宅捜査の暴力が描かれていましたが、同じような証言がたくさんでていました。
オバマ・アメリカ大統領はアフガニスタンへの3万人の増派を決めましたが、兵士の数は足りるのでしょうか?病むまで、自殺するまで繰り返し戦場に派遣さ
れるのでしょうか?
|
|