09/12/12 大いなる失望
民主党の小沢幹事
長が国会議員143人を含むおよそ600を引き連れて中国を訪問し、胡錦濤国家主席と会談したそうです。
マスコミはアメリカ軍の普天間基地の移設問題が解決していない時期の大挙
した訪中はアメリカとの関係を損ないかねないと「親切」な忠告をしています。「小沢幹事長:胡主席と会談 米の不信に拍車も」(毎日新聞 09/12/11)
相変わらずの対米従属の報道でした。
確かにテレビに映されていた民主党の国会議員と胡
錦濤国家主席のツーショットの写真撮影の様子は卑屈に見えて褒められたものではありませんが、隣国の中国との友好な関係を向上させることにアメリカからと
やかく言われることではありません。
さて、そのアメリカのオバマ大統領は、ノベール平和賞の授賞式に出席し演説をしました。
演説全文は「オバマ米大
統領 ノーベル平和賞の受賞演説全文」(共同通信)で読むことができます。(日本語訳、英文)
全文を通読してみると、戦争の当事国の司令官として戦争を正当化でしかないように思いました。
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私は、バルカン諸国や、戦争に傷ついた他の地域でそうであったように、武力は人道的見地から正当化できると考えている。何もせずに手をこまねくことは良
心の呵責(かしゃく)を生み、後により大きな犠牲を伴う介入が必要になる可能性がある。だからこそ、すべての責任ある国家は、平和維持において、明確な指
令を受けた軍隊が果たし得る役割というものを認めなければならない。
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武力が正当化できる、自分たちの戦争は正しいというに他なりません。「平和のための戦争」という矛盾が私には理解できません。
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同様の原則は国際法に違反し、自国の人々をむごたらしく扱う国々にも適用される。ダルフール(スーダン)の大虐殺やコンゴ(旧ザイール)での組織的強
姦(ごうかん)、ミャンマーの弾圧、これらは責任が問われなければならない。そう(国際社会の)関与はあるだろう。そう、外交努力があるだろう。だが、こ
れらが失敗した場合には、(こうした国々の)責任が問われなければならない。われわれが結束すればするほど、武力介入するか(何もせず)抑圧の共謀者とな
るか、われわれは選択を迫られなくなるであろう。
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あなたたちアメリカの軍隊がイラクやアフガニスタンで罪もない人を傷つけ、殺し、財産を奪い、人としての尊厳を踏みにじっていることはどのように償うの
ですか?
そして核廃絶については下記のように述べています。
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核兵器の拡散を阻止し、核兵器のない世界を追求する取り組みが急務だ。前世紀の中ごろ、各国は(核拡散防止)条約(NPT)に従うことで同意した。その
取り決めは明確だ。すべての国が原子力を平和利用でき、核兵器を持たない国は所有を断念する。核兵器を持つ国は軍縮に向けてまい進する。私は積極的にこの
条約を支持してきた。条約は私の外交政策の要だ。そして私はメドベージェフ大統領と一緒に、米国とロシアの核備蓄を減らす作業を行っている。
また、イランや北朝鮮のような国が核不拡散体制を悪用しないよう主張することもわれわれの義務だ。国際法に敬意を払う者は、法がないがしろにされたら目
を背けることはできない。自分の安全保障を心配する者は、中東や東アジアでの軍拡競争の危険性を無視することはできない。平和を追求する者は、核戦争のた
め各国が武装するのを何もせず傍観してはならないのだ。
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核保有国アメリカの大統領として 09年4月プラハでの演説の方が力強く具体的に聞こえます。
プラハ演説の日本語訳全文は「アメリカ合衆国大統領 バラク・フセイン・オバマのプラハにおける演説」で読むことができます。
ノーベル平和賞とはこんなものと思えばよいのでしょうが、大いなる失望をおぼえた演説でした。
各国の反応などを毎日新聞の記事から紹介しておきます。
◆ブッシュのよう
授賞式を取材したノルウェーの経済紙の記者は「演説は時
々ブッシュ発言のように聞こえた。戦争
や暴力を否定する過去の受賞演説とはかなり異なる演説だった」と指摘しています。
◆共和党は歓迎
共和党の副大統領候補だったサラ・ペイリン(前アラスカ
州知事)は「彼が話したことは気に入った」と、共和党のギングリッチ元
下院議長は「彼は受賞を、世界に悪があるという大事なことを思い起こさせる機会として使った。歴史的な演説だ」と夫々賞賛しています。
◆ドイツでは
ドイツの有力誌シュピーゲルは「誤った時期の誤った賞」と批判、保守系紙ウェルトも「素朴な平和主義へのノーだ」と報道していたそうです。
◆アフガニスタンでは
アメリカの「平和のための戦争」の当事国は嫌悪感が高まっていると報じています。
アフガニスタン人の治安専門家は「平和を盾に武力行使を正当化した論理は、ヒトラーら20世紀の戦争指導者と同じ。その事実から世界の目をそらすのがう
まいだけ」と指摘、アフガニスタン内務省高官は「ノーベル賞委員会は授賞で米国を変えようとしたのだろうが、逆に米国の正当化に利用された」と失望感を隠
さなかった。
◆パキスタンでは
各地で学生らによるオバマ氏の演説に対する抗議デモが多発し、学生らは「オバマはブッシュと同じ」「戦争という暴力が世界にテロを拡散している」と言っ
ている
「ノーベル平和賞:「戦争容認」オバマ米大統領受賞演説 共和党は絶賛、欧州に失望感」(毎日新聞
09/12/12)
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