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10/03/01 朝 日俳壇、歌壇より

 昨日は、久しぶり の休みで久しぶりのサイクリングを楽しみました。心地よい肉体の疲労を感じています。サイクリングの模様は後日に。

 3月1日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。

◆朝日俳壇
◇留守電に亡き人の声春寒し(西宮市・古閑久子:稲畑汀子選)
 亡くなった人の声が思いがけずに留守番電話に録音されていたと言うことでしょうか、いや留守番電話の自動応答音声が亡くなった人の声だということでしょ うか。
 
未練たらっしことに、現代では人は亡くなってもその姿や声が残されます。人々の記憶から さっと消え去りたいと思う人にとっても。

◇思ひ出はいつも笑顔や春時雨(神戸市・玉手のり子:稲畑汀子選)
 この時期に神戸の人が「思い出」と詠まれると、あの阪神淡路大震災で亡くなられて人の思い出かと勝手に思い込んでしまいます。句だけでなしに詠み人の名 前、性別、住所などあるいは選者まで鑑賞するための大きな情報です。
 句や歌だけを素直に鑑賞して見たいとも思いますが。

◇吾が魂も不屈なるべし蕗の薹(高岡市・野尻徹治:金子兜太選)
 兜太選らしい句だと思いました。兜太先生は「自分を励ましている句で、繰り返し読むほどに、早春の冷気の中の蕗の薹の『魂』が見えてくる」と評されてい ます。

◇母の如我が眼しだいに牡蠣の目に(アメリカ・大竹幾久子:金子兜太選)
 「牡蠣の目」がわからない言葉でした。
 貝(特に鮑)を食べると目が綺麗になるということを聞いたことがありますので、牡蠣も目と関係があるのでしょうか?

◇春愁や円卓に隅なきことも(神奈川県・中島やさか:大串章選)
 「春愁」の句を詠みたいと思っていますが中々うまく詠めません。こんな句が詠みたいものです。

◆朝日歌壇
◇妊娠のよろこびのとなり臓器ひとつ失う人ありカーテンは揺れ(スウェーデン・マドセン泰子:馬場あき子選)
 病院とは不思議なところです。生まれる命と失われる命、生と死が凝縮されて存在する場所です。薄いカーテンが隔てるものは生と死。

◇坂道を上る車のひとつずつ夕日に触れて消えてゆきたり(仙台市・小野寺寿子:佐佐木幸綱選)
 坂道を遠くから眺めているとこちらに向かってくる車はせり上がるように見えます。また向こうに行く車は消え去るように見えます。夕日のころなら夕日を舐 めてフェードアウトするように。 

◇北光社書店の今日を限りの閉店を惜しみて客はレジに列なす(新潟市・山田昭義:佐佐木幸綱選)
 北光社は新潟市のあった創業190年の老舗書店で、ことしの1月31日に閉店したそうです。
 レジに人が並ぶような盛況なら閉店しなくてよかったでしょうに。劇場でも列車でも廃止されるとなると人が押し寄せます。そして「なくしてほしくない」と いいます。身勝手なことです。

◇笑うことなくひと日の過ぎたるを日記に記す今日はハングル(大阪府・金忠亀:高野公彦選)
 一日物言わない日、笑わない日も多くあります。私は拙いホームページのためにキーボードを打ちます。作者は母国の言葉ハングルで日記を綴る。

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