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10/04/16 自然災害も平等ではない

 先日の東京新聞に 政府の 派遣法「改正」案は企業の「雇用義務」は穴だらけだという記事(派遣法改正案 『雇用義務』穴だらけ東京新聞 10/04/15)があ りました。

 例えば、「改正」案では派遣会社の違法行為を受け入れ側の企業が知らなかった場合に直接雇用義務はないとする例外規定があるそうです。「知らなかった」 といえば済むということです。

 私は、労働者を物扱いにする労働者派遣法は「改正」では なく「廃止」すべきだと思っています。民主党政権は公約にあった後期高齢者医療制度の廃止も先送りしています。誰のための政権でしょうか?

  台風や地震などの自然災害は被災地に暮らす人々に同じような被害をもたらすのだろうか?災害が起こったときにその被害を最小限にするために政治は機能しな ければなりません。

 いつも読ませていただいている「あるがまま」というブログに中国チベット族自治州玉樹県で起こった地震について下記のように書かれています。

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 だうして、貧しく弱ひ地域の人たちがいぢめられるのだらう。
 かうして、貧しく弱ひ人々は なほ貧しくなっていくのだらうか。
-----------------(「中国で地震」10/04/14)

 この記事を読んで05年8月末にニューオリンズやミシシッピなどアメリカ南東部を襲ったハリケーン・カトリーナについて書かれたビル・トッテンさんの
コ ラムを思い出しました。「仲間に銃向ける階級戦争」(05/10/17)、「民営化、自己責任の社会」(05/10/24)

 当時のブッシュ政権は科学者が出した「温暖化がハリケーンの被害を大きくする」との警告を無視し、ハリケーンなどの自然災害時に防波堤の機能をもつ沿岸 湿地を次々と破壊し、連邦緊急事態管理庁(FEMA)がハリケーンでの被害を警告をしていた。なぜ自然の防波堤となる湿地帯を破壊してコンクリートの堤防 が作ったのか、石油の発掘と船の行き来のための運河が作られているそうです。アメリカ政府が大事にしているのは国民の安全より石油産業の利便だというこ と。その結果、天災は人災となったのです。

 カトリーナの接近すると政府は避難勧告を出したが、それは自力で非難するということで広大な土地で公共交通機関のないアメリカでは自動車がなければ非難 することができない。

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政府の避難勧告でニューオリンズはひどい交通渋滞となった が、貧しい人々の多くは、交通手段も避難するホテル代もなかったのである。そして貧困層は祈りながらその場にとどまるしかなかった。
------------------(「仲間に銃向ける階級戦争」より引用)

 ニューオリンズ市では海面より低い地区に住む住民の36.4%が貧困層で、02年には地元紙が「大きなハリケーンが来れば約10万人の自動車を持たない 貧困層が危険にさらされる」と警告していたそうです。

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(ルイジアナやミシシッピの州兵はその3分の1がイラクに 派兵されていて)少ない兵士に よる援助の中心も、貧困層の命を救うことではなく富裕層の家屋を守ることだった。そして治安が悪化すると、知事は略奪や暴力に 加わった人を射殺するよう州兵に命じたという。イラクという戦場から戻った州兵は、ルイジアナ州で階級戦争という新たな戦闘に参加したのである。州兵のほ とんどは貧しい階層の出身者である。つまり州兵は自分の国で、自分たちの仲間に対して銃を向けることになったのである。
------------------(「仲間に銃向ける階級戦争」より引用)

 アメリカを襲ったハリケーンとキューバを比較した記事があったそうです。
 それによると、04年9月に大型ハリケーン・アイバンがカリブ海諸国(グレナダ、ジャマイカ、キューバ)を直撃しました。キューバでは避難勧告により 1500万人以上の住民が高地へ非難し2万世帯が破壊されたが死者はゼロだったとのことです。それにニューオリンズなどで起こった略奪や暴力もなく戒厳令 が出さ れることもなかったそうです。その要因はキューバにはアメリカのように大きな貧富の差がなかったからではないかと指摘されています。

 また、キューバでは地域住民が非難する際に誰に手助けがいるか、非難シェルターには近隣のかかりつけ医が配置されるなど綿密に計画された避難警告システ ムがあるそうです。

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今回の米国のハリケーンで露呈したことは、国を動かしている一部の富裕層が政治家をも動かして自分たちの利益になるように奉仕させているということであ る。一般の国民を支援するためには税金を使わせたくない、だから社会投資はなるべく少なくする。富裕層は金があるから国に頼らなくても自分を守ることがで きるから公共交通機関のような社会インフラなど米国には不要なのだ。
それだけではない。自分の子弟は私立に行かせるので公立学校への予算削減を主張する。高額な民間の保険に入れる自分たちには国が提供するメディケアなどの 国民健康保険もなくしたい。民間のガードマンを雇えるから警察さえ少なくしようとしているのが米国である。
こうしてすべてを民営化、私有化して社会投資を少なくしたい。社会的弱者に使われるお金はなるべく少なくしたい。避難命令を出したのだから、被災したのは 自己責任だというのが米国政府の基本態度である。おそらく今ブッシュ政権がもくろんでいるのは被災地の復興作業でどうやって企業をもうけさせるかであろ う。小さい政府、民営化、自己責任の社会。それが日本があがめる米国である。
------------------(「民営化、自己責任の社会」より引用)

 政治は誰のためにあるのか?
 もし金持ちのためにあるのなら、大多数の貧しく弱いもののために変えなければならない。
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