10/12/16
朝日俳壇、歌壇より
民主党政府もたまには良いことをするものです。動機や下心はどうあれ諫早湾の潮受け堤防の開門を
命じた福岡高裁の判決に控訴しないとの決定は評価されます。
ダム建設と同様に何十年も前に計画されたことが、社会の状況が変化した中でもそのまま建設が進められる矛盾はどこかで見直されなければならないことで
す。
ベランダのプランターに零余子（むかご）を埋めておいたら、夏には長い蔓が伸びていました。秋口になり蔓が枯れたので先日掘って見またところ、一年で右
のように長さ１５センチほどになっていました。
植物はえらいものです。ちゃんと山芋ができていました。小さな山芋は早速摺り下ろして晩酌の摘みになりました。
１２日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。
◆朝日俳壇
◇手を握りたき人も居て闇の夜汁（松山市・能仁尚志：金子兜太選）
座五の「闇の夜汁」が分からないけど意味深そうです。選者は「闇汁の句の現代版と言いたい」と評されています。
残念ながら私にはそっと手を握りたい人はいません。
◇紅葉で神が染めたる天地かな（岸和田市・小林凛：長谷川櫂選）
句として良いのかどうか良く分かりません。が、作者が９歳とあれば「うまい？」となるのでしょうか？わざわざ作者は９歳と断らなければならない選者、小
学生短歌と並んで考えさせられました。
◇河豚汁自愛ほとほとくたびれて（みよし市・稲垣長：長谷川櫂選）
自愛のために河豚汁を食べたのか、断っているのか、どちらにしてもくたびれる。よく分からないが気になりました。
作者の住所は「みよし市」とあり、どこかと探すと愛知県にありました。ひらがな町名は漢字町名にできない訳ありの町村合併だっとことが伺えます。他にも徳
島県みよし町というのもありました。
◇少年に判決下る寒さかな（国分寺市・森田進：大串章選）
先月２５日、仙台地裁で犯行当時１８歳の少年に死刑の判決が下されました。裁判員裁判では２例目の死刑判決だったそうです。
少年に対する死刑、裁判員が関わった裁判で死刑と、二重にこの句のように「寒さ」を感じました。
加害者の命を奪って被害者遺族の感情はどうなるのでしょうか？
死刑判決に加担した元裁判員の心の傷は癒えるのでしょうか？
死刑制度にも裁判員制度にも反対です。少なくとも裁判員裁判では死刑判決が予想される事件を外すべきではないでしょうか？
◆朝日歌壇
◇どや街の立ち食いそば屋黙々とみな食べている木枯しの中（伊賀市・福沢義男：馬場あき子選）
時々は行って見たくなる街の一つに大阪・西成のあいりん地区があります。昨夜（１５日）の清水ただしさんのツイッターに
は、路上生活者に寝袋を配るボランテアに参加され若者の路上生活者が増えていると書かれていました。が、ドヤの街には私より年上と思われる高齢者が多く歳
末の寒さが心身ともに堪えることでしょう？
ドヤ街の立ち食いそば屋も、ビジネス街の立ち食いそば屋も男は黙ってそばを啜っています。
◇つくづくと吾は冷たい女なり妻、母、嫁の仮面をはずせば（盛岡市・白浜綾子：佐佐木幸綱選）
生きて行くには仮面も被らなければなりません。
私も子どもが小さい頃に良い父親の良い夫の仮面を被って疲れ果てました。仮面を被っている時が冷たい人間なのか、外したときが冷たい人間なのか分かりま
せん。
◇人間は機械ではない。牛丼が遅れ苛立つ者よよく知れ（春日部市・宮代康志：佐佐木幸綱選）
分かりいい歌です。教育標語的でもあります。
何かの弾みに人を機械と見てしまう、そんな癖を現代人は持っているように思います。機械の方が文句も言わず間違いもせず仕事をこなしているような場面に
出くわします。自動販売機の氾濫の所為でしょうか？
◇ほろ苦き通草実（あけび）の皮の炒め煮を摘（つま）みに酌まん今日廃業す（相模原市・角田出：高野公彦選）
ほろ苦いあてを摘みながら飲む酒は美味しいものですが、この歌の場合は少し味が違うようです。
アケビの皮は味噌和えも美味しいものです。西新橋にある元夫婦の男女がやっている居酒屋で春先には日比谷公園で摘んだアケビの新芽のおひたしを出してく
れました。遠い思い出の味でした。
◇休職後復帰プログラムをこなされた先生復帰しそして自死する（北海道伊達市・今奈奈：高野公彦選）
職場に心を病んだ人を抱えていたことがあります。産業医に相談すると「あの人の場合は××だから・・・」と少々人を馬鹿にしたようなこと、そしてその話
は職場に広く広がっていたことを知って
復帰プログラムとはどのようなものか知りません。心を病んだ人を職場に復帰させるためのカウンセリングのようなものでしょうか？
◇黙すとき声あげるときわきまえてスーチーさんの白いくびすじ（三島市・浅野和子：永田和宏選）
スーチーさんの白い首すじは彼女の意思の強さを示しているように思います。長い軟禁状態を解かれましたが、ビルマの情勢は予断を許さないようです。
映画「ビルマＶＪ消された革命」でＡＰＦ通信の
長井健司さんが銃殺された場面が映されていました。また、１１月には同社代表の山路徹さんがビルマの総選挙を取材中に当局に拘束されるという事件がありま
した。その報告会が２３日に京都で行われるので聴きにいこうと思っています。
◇親指をしつかり握り言ひ出せぬ心の奥の言葉を握る（台湾・李錦上：永田和宏選）
心の内にあるものをただ垂れ流すような人は信用できません。この歌の場合、言い出せぬこととは何でしょう？愛の言葉でしょうか？
◇公園の公衆電話黄落の受話器に詫びて居る人を見き（相模原市・角田出：永田和宏選）
作者は高野公彦さんの選でアケビの歌で入選されている人です。
公衆電話で頭を下げながら詫びている人と黄落する周りの景色が絵のように浮かびます。
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