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11/05/30 朝日俳壇、歌壇より
  頭の回転が日に日に悪くなっています。感性が大事な俳句や短歌を味わうことに向いていません。俳句もどきの句作も絶不調な毎日です。
 さて、そんな頭で5月30日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します


◆朝日俳壇
◇被災地の土もて燕巣作りす(兵庫県猪名川町・小林恕水:大串章選)
 被災地の帰ってきた燕は、放射能で汚染された土で巣を作り、放射能で汚染された空気を吸い、放射能で汚染された餌を食べて子育てをするのでしょう。選者 が「その巣で生まれた子燕が、やがて元気に飛びまわる」というように、能天気な状況を詠ったのではないと私は思う。

◇放射能田植を奪い牛奪い(八王子市・樋口雄二:金子兜太選)
 原発が撒き散らす放射能は田植も牛も、家も夢も生活も奪った。

◇衣替へて財布が邪魔になりにけり(京都市・水船つねあき:長谷川櫂選)
 薄物に衣替えをして財布が邪魔になるという実感に共感、選者の「大枚でふくらんだ財布が邪魔とは。微苦笑の一句」には生活感の違いかと失望した。大枚が 入った財布でなくても邪魔になるという感覚がないのだろうか?

◇福島がフクシマとなり夏来る(金沢市・前九疑:長谷川櫂選)
 「フクシマ」という表記が嫌だという意見もありますが、「福島」はすでにチェルノブイリやスリーマイルと同じように「フクシマ」となり 「Fukushima」となっている。

◇春愁や原発五キロ圏に住む(御前崎市・岡村福彦:長谷川櫂選)
 原発五キロ圏に住んでいるとは大いなる春愁です。

◆朝日歌壇
◇里人(さとびと)の鎮守のわれは別当ぞ原発事故といへど非難はできず(福島県・目黒美津英:高野公彦選)
 一読は原発事故であっても鎮守の神様は避難できないという意味かと思いましたが、鎮守の神社の神官である作者が避難できないという歌と知りました。選者 は
「作者は相馬郡新地町に住む。仕事柄、おいそれと避難はできない」と。
 棄てられた町には先祖の霊や山や川の精霊が置き去りにされているという誤 解の方が意味深いのではと思いました。

◇死者ひとり増え行方不明者ひとり減る数字の上ではそうなのだけど(伊勢原市・長谷川久江:永田和宏選)
 数字の「1」が行方不明者の欄から、死者の欄に移動するだけ。では決してない。「1」には一人の人間が、父母が、妻が夫が、娘や息子が、人生があったの だから。

◇亡くなりて喜ばれる人少なしビンラディンの死にボストンの沸く(アメリカ・久下朋子:永田和宏選)
◇人を殺しバンザイと叫ぶ気になれず人を殺せし人の死なれど(行方市・鈴木節子:永田和宏選)
 ビン・ラディン殺害に関する歌二つ。
 ボストンではどんな人々が歓喜の声を挙げていたのだろう。
 裁判もせずにビン・ラディンを「人殺し」と呼ぶ考えに同調できない。人殺しというならビン・ラディンを殺せと命令したオバマこそ人殺しではないのだろう か?

◇トラクターでほうれん草を砕きいる友は風評に黙して耐うる(群馬県・眞庭義夫:馬場あき子選)
 風評被害の加害責任を消費者に押し付けるのはお門違いです。安全なものしか出荷しない、疑わしきは国が買い上げるのだと表明できないのだろうか?風評を 起こすのは政府の情報隠しにあると思う。
 生産者と消費者を対立させる企みに騙されない。

◇原発を逃げて浅間に一ケ月みなさん優し「いわき」が恋し(いわき市・馬目弘平:佐佐木幸綱選)
 「ミナサンヤサシ、イワキガコイシ」のフレーズが良い。

◇かまどには昔神様おりましていま原子炉に神はいますか(東京都・無京水彦:佐佐木幸綱選)
 植村花菜さんの歌に「トイレに神様が居る」というのがありましたが、家の中で神様が宿るのは竈と決まっていました。
 原子炉には神様でない悪魔が住んでいる。早く悪魔と手を切りましょう。
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