11/07/02 映画
「ショージとタカオ」
政府と民主・国民
の
与党は、2010年代半ばには消費税を10%に増税すると方針を決めたそうです。もともと自民党に異論はなく消費税増税が現実的になってきました。
高田渡さんが歌う「あきらめ節」にこんな一節がありました。
♪お前この世へ何しに来たか
♪税や利息を払うため
生まれたばかりの赤ちゃんから寝たきりの老人まで物やサービスを必要とするすべての人からキチンと徴税する仕組みです。
税は取りやすいところから取る、税は声の大きな人たちのために使うというのが原則なのです。
消費税は「高齢化福祉」のためにと導入された。3%から5%に増税の時にも「福祉」「福祉」と言われてきました。今度の増税の目的は「震災復興」です
か?「震災復興」といっても大企業が潤う大規模開発に使われるのではないですか?私企業・東京電力が起こした「原発事故」対策に使われるのではないです
か?
まだまだ騙される国民がいると思っているのでしょうか?虐げられれば虐げられるほど私たちも学習するのです。いつまでも大衆は無知だと思うなよ。
映画「ショージとタカオ」を観てきまし
た。
タイトルにあるショージとタカオは1967(昭和42)年に茨城県で起こった布川事件の冤罪被害者・桜井昌司(ショージ)さんと杉山卓男(タカオ)さん
のことです。
1967年8月30日茨城県利根川町布川で一人暮らしの男性が絞殺死体で発見された。10月になってショージさん、タカオさんが相次いで別件で逮捕され
た。逮捕当時の彼らは20歳、21歳で地元のチンピラだったそうです。
別々の警察署で取調べを受けたショージさんは「現場でお前とタカオを見た証人がいる」「母もお前の犯行と認めている」などと責められた結果、「自白」を
し
てしまう。ショージさんの「自白」はタカオさんの「自白」を引き出すネタとして使われタカオさんも程なく「自白」をした。
その後、裁判で無罪を主張するが1978年最高裁で無期懲役が決定、その後再審請求をするも棄却、通算29年の拘禁生活の後、1996年相次いで仮釈放
された。
09年12月、2度目の再審請求が認められ、11年5月晴れて無罪が証明された。
布川事件についての詳細は「桜井昌司さん・杉山卓男さんを守る会」のホー
ムページに詳しい。
多くの冤罪事件と同じようにこの事件でも4点セットは揃っていました。
◇見込捜査
警察は当初から2人組の犯行と推定し、町のチンピラ二人にターゲットを絞って捜査していたようです。
事件が起こるとチンピラ、前科のある者、金に困っている者、外国人など社会の少数派が狙われます。
◇別件逮捕
本命の強盗殺人ではなく「窃盗」「暴力行為」などの別件で身柄を拘束して、本命の事件の取調べをすることは警察の常套手段です。
ある日、私も飲み屋の付けを払っていないことで無銭飲食、落ちなかったクレジットの支払いで詐欺罪など別件として逮捕されかねません。
◇自白偏重
長く拘禁され、外部との交渉を遮断されると、目の前の苦痛から逃れるために取調官に迎合した「自白」をするそうです。
被疑者は「検察官はわかってくれる」「裁判官は嘘の自白を見破ってくれる」と送検後や裁判になってから真実を言えばよいとおもうのようです。
警察、検察は一度「自白」を引き出せば「絶対有罪」と攻め立てるそうです。
◇物証無き裁判、証拠隠し
2度目の再審請求の無罪を証明するために、弁護団が犯行現場を再現して残留指紋の有無や逃走経路を検証しましたが、検察が「無い」と言っていたショージ
さんの指紋が残ることが証明されています。
弁護側がいくら開示請求をしても、警察・検察は被告人に有利な証拠を故意
に隠します。
それどころか袴田事件のように捏造までします。
さて、前置きが長くなりました。
映画は1996年に二人が相次いで仮釈放される場面から始まります。
二人のことを偶然知った監督の井出洋子さんは彼らの出所のシーンを自らのカメラで記録していきます。
自動券売機で切符が買えない、カード式の公衆電話が使えない、そんな姿に井出さんが優しく語りかけながら、見た目は少々おっかないおじさんたちの日常を
撮っていきま
す。
後の撮影はプロのカメラマンが付いたそうですが、手作り感がなんともいえません。
ショージさんとタカオさんは対照的です。
ショージさんは獄中で詩や曲を作り、佐野洋さんに手紙を書き佐野さんは布川事件を告発するノンフィクション作品(檻の中の詩)を書いています。出所後、ショージさんは故郷に帰り帰り土木作業員をしな
がら、廃屋同然の実家を住めるように改築します。
結婚相手をカメラの前に出すことにも抵抗は無いようです。
それに比べタカオさんはシャイの一言、都内の狭いアパートに撮影クルーを向かえ入れても、奥さんはカメラの前に出さないけれど、産まれてくる子どもの為
に買った玩具
をテレながらうれしそうに見せるタカオさん。
故郷に家も墓もあるショージさん、両親の位牌はあるが家も墓もないタカオさん、こと毎に対照的な二人です。
ショージさんの兄の友達であったタカオさん、ショージさんのことを好ましく思っていなかった二人、こんな二人が死刑にもなるかもしれないような犯行を企
むとは思えません。
映像は淡々と出所後の二人の生活を映し出します。
取り調べた警察官、検事、誤った判決を下した裁判官、日本の司法、裁判制度についての彼らの言葉は押さえに押さえたものでした。
怒りを大きな声と仕種で表現することも大事、深い深い怒
りや悲しみを淡々を語ることは周りに大きな感動を与えるように思った映画です。
158分と長い映画でしたが、長さが気になりませんでした。
明日(7月3日)TBS系のサンデージャポンでショージさんとタカオさんの特集が放送されるそうです。是非、ご覧になってください。録画できる方は
YouTubeに是非アップを。
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