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11/09/06 朝日俳壇、歌壇より
 昨日、小宮山厚生 労働大臣のタバコ値上げ発言を歓迎すると書きましたが、Twitterでは「健康のためにタバコを値上げすると言っているが、その前に排ガス、放射 能・・・を規制しろ」などの意見がたくさんつぶやかれていました。
 そのとおりかも知れません。でも私は歓迎する。子どもたちをタバコの害から守ることも大事なことと思う。

  29日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。

◆朝日俳壇
◇それぞれに孤独なしぐさ蟻せわし(野洲市・鈴木幸江:金子兜太選)
 蟻の「孤独なしぐさ」とはどういうしぐさだったのでしょう。作者の心の投影だったのでしょうか?
 よく蟻の行列をみます。
蟻の群れを見て、その一匹一匹に「孤独」を感じたことはありません。

◇強がつて夫(つま)の新盆終えにけり(木更津市・佐藤スツ:金子兜太選)
 女性は強い、歳を重ねるごとにそう思います。
 句は、夫を亡くし健気に法要を勤める妻の純な心根を詠ったとも読めますが、実は強かな女心が隠されているようにも感じてしまいます。

◇新聞が休んでどうする終戦日(大津市・辻童舟:長谷川櫂選)
 そのとおり。今年の8月15日は新聞休刊日でした。この日でしか訴えられないことがあると思うのですが。。

◇遊びにも倦(う)みし頃かと西瓜切る(芦屋市・田中節夫:大串章選)
 遊びに飽きたのは子でしょうか、孫でしょうか?
 何日も前から冷やしておいた西瓜を、子どもの遊びのタイミングを見計らって切ってやる、絶妙のタイミングで西瓜タイムとなった。さぞ、美味しかろ。
 「増殖する俳句歳時記」で清水哲男さんは8月末 に「とうとう西瓜を食べなかった夏」と書かれていましたが、私も同様に西瓜はスーパーの店先で眺めるだけで一欠けらも食べませんでした。うらやましいこ と。

◇星流れ山には山の時間かな(姫路市・西村正子:稲畑汀子選)
 登山での山小屋での作でしょうか。
 若いころの山登りはカネもなくテント掛けばかりでした。テントを出ると満天の星、山には山の時間があるのではないかと思ったものです。

◆朝日歌壇
◇「これしきはジュラ紀の平均気温だね」うそぶいて子が闊 歩する夏(新潟市・太田千鶴子:馬場あき子/永田和宏選)
 「これしきは・・・」とうそぶく青年は利口な人だ。
 馬鹿な知識人は「地球温暖化」「異常気象」などというが、地球の歴史をわずか数百年の変化で計ることができるわけがない。
 地球の誕生から40数億年、ジュラ紀とはそれから30数億年(今から2億年弱前)恐竜が闊歩していた時代、現代の気温より10〜15℃ほど高かったらし い。

◇節電の小暗き駅を出で来ればカーンと明るし猛暑の街は(さいたま市・小田部桂子:馬場あき子選)
 関東の電鉄会社は「節電」と称して車内の照明を暗くしています。対して庶民は「カーンと明る」くしている。企業は電力会社のいう「節電」に付き合って経 費削減になるため節電し、庶民は薄暗い店に客が来ないことを知っていて強かに「節電」なにするものどと生きている。

◇受話器とり「スズキでした」と現在を過去形で言ふ山形の人(名古屋市・可知豊親:佐佐木幸綱選)
 京都大学の小出裕章さんの原発事故に関するインタビューや解説を放送しているMBSラジオは、小出さんのインタビューの前に「・・・小出さんにお話をお 聞きしました」と始まります。
 山形県人と同じなんです。現在を過去形で話す話し方。

◇懐かしき匂いこもれる祖父の部屋栞すすまぬ本が残れり(桜井市・田村美由紀:高野公彦選)
 おじいさんは亡くなったのでしょうか?入院したのでしょうか?
 主のいなくなった部屋の本の整理をしていると、栞がページの前の方に挟んだままの本を見つけた。祖父と呼ばれる人のことが気になってしょうがない。

◇小樽への家族旅行に「お父さん預かります」との店で休めり(東京都・海老根清:高野公彦選)
 「お父さん預かります」なんて店に預けられたい。


◆胎内市
 <打水をして障害を終わらんと>
(今村克治)という句の作者・今村克治さんは新潟県胎内 市の方です。胎内とは母の胎内、神聖でエロチックな名前だと思います。

 胎内市の広報には「
市域の中心を流れる清流「胎内川」は、地域の豊かな自然と深い歴史 を育んできました。農業用水・工業用水としてだけでなく、特徴的な地形や豊富な伏流水、古くから水害と闘ってきた先人の偉業などを顧みると、胎内川がもた らした恩恵は計り知れません。正に母なる川「胎内」が新市のシンボルであることから「胎内市」と名づけられました」と書かれていました。
 さて、その胎内川の名前の由来はウィキペデアでは「アイヌ語の「テイ・ナ イ」(清い川) 、「トイ・ナイ」(toy-nay 泥の川)を語源とする説があると書かれていました。

 納得。。

◆小四
 <赤とんぼ風にうたれて飛んでいく>
(竹下紗矢)の句を選者の長谷川櫂さんは「九句目。 小四。『うたれて』がいい」と評されていました。
 「小四」との説明が必要なのでしょうか?
 作者が、男性だろうと女性だろうと、金持ちだろうと貧乏だろうと、その作品の質を左右されるものではないように思う。

◆俳句時評
 俳壇、歌壇の掲載されているページの「俳句時評」という囲み記事に俳人の高山れおなさんが、奥坂まやさんの句集「嫗の国」などを紹介されていました。

 <コンチキチンコンチキチン母が死ぬ>
(奥坂まや)

 いい句ですね。
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