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11/11/02 映画「木 漏れ日の家で」
 九州電力は昨夜、 玄海原発4号炉の再稼動を強行しました。
 九電はやらせメールの反省もなく強引な再稼動は世間を舐めきっているしか思えません。再稼動を認めた政府とともに福島第一原発事故の教訓が生かされてい るとも思えません。

 人気のない政権は、スポーツ選手や芸能人に国民栄誉賞や勲章を与えて自らの人気回復の頼みとするようです。
 情けない風潮です。

  今回はポーランド映画です。親の代からの古い建物に一人住み老いた女性の目線で切り取った、息子、嫁、孫娘、そして隣人、もう一人?忘れてはならないのは 愛犬フィラをめぐる映画「木漏れ日の家で」です。京都四条烏丸の京都シネマは中年の女性客が多い日でし た。

 91歳になるアニェラはワルシャワ郊外にある父母の残した木立の中の屋敷に愛犬フィラと住んでいます。息子は結婚して家を出て、嫁との折り合いが悪くて 同居を望んでいるにもかかわらず実現しません。
 家を息子や孫娘に残したいアニェラは孫娘を懐柔しようと試みますが「直して住むより燃やしてしまえ」と言う始末です。絶望したアニェラは静かに死を選ぼ うとしますが、この家を残す良い方法を考えつきました。

◇尊厳
 冒頭にアニェラが病院で診察を受ける場面があります。
 女医が「服を脱いで横になりなさい」と命令口調でいうのを聞こえぬ振りをして抵抗します。最後はキレて診察を受けないで帰っていきます。
 老人にも人間としての尊厳があります。

◇アニェラ
 主演のアニェラは綺麗でチャーミングな女性です。
 こんなに綺麗に老いていくことができるのですね。演じているダヌタ・シャフラルスカさんは撮影時91歳だったそうです。

◇ガラス
 アニェラの家の2階の部屋は三方の腰から上が古い歪みのあるガラスで囲まれてサンデッキのようになっています。正面には木立ちの中にブランコが揺れてい ます。その奥には通りに続く鉄扉、左の窓からは女の元に通ってくる金満男の屋敷、右の窓からは子どもたちに楽器や踊り、歌を教える音楽教室を運営する若い 夫婦の家が見えま す。
 アニェラの回顧シーンなどが、この歪んだガラスを通して映し出されます。モノクロの色調とともにしずかな時の流れを表現していました。

◇フィラ
 ホームページの解説によれば、アニェラの唯一の理解者メス犬のフィラ(フィラデルフィア)を演じていたのはオス犬で、ポーランドの映画祭で特別賞を与え られたそうです。
 この犬がなんともいえず味のある演技をしていました。携帯電話会社のCFの白犬などとは比べ物になりません。ラストシーンでのアニェラを見守る表情もな んともいえませんでした。

◇キャスト
 
これもホームページの情報から。アニェラの息子を演じていたクシシュトフ・グロビシュは「カ ティンの森」に出演していたそうな。また、隣の音楽教室からアニェラの家に侵入してきた少年・ドストエフスキーを演じていたカミル・ビタウは「僕のいない 場所」にも出ていたそうですが、どちらもまったく記憶にありません。
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