Google
WWW を検索 残日録内 を検索
←Back Haiku  Photo Mail Archives Twitter Next→

12/01/16 朝日俳壇、歌壇より
 先夜、気心の知れた数人と「新 年会」と称する飲み会に参加しました。
 その席で、ひどく酩酊してしまい、現在は自己嫌悪に陥っています。老いて恥多き暮らしをするとは情けない。
 年末から対アルコールの体調が勝れない状態が続いています。酒毒と決別しなければならない時期なのでしょうか?

 年末に心筋梗塞で倒れた同僚は予定通りに2週間あまりで退院しました。救急車で運ばれ即手術、鼠径部からカテーテルを入れて血管の詰まったところにステ ントとかいう器具で血管を広げる手術をしたそうです。
 手術をして2週間の入院で3割負担の費用が50万円だったとか。
 命は重いと言っても、治療費の高さにも限度があるのではないでしょうか?治療で命が助かっても高い治療費を払ってしまい暮らしていけないなんて漫画のよ うなことが起こっています。儲けるのは医者と製薬会社だけ?

 雑駁な話が続きます。
 今、大岡信さんの「百人百句」というのを読んでいます。この本は朝日新聞に連載されていた「折々の歌」の中で取り上げられた句と その解説本です。こうい う読み物は読めるのですが、難かしい本は中々読了できません。
 さて、その本に紹介されている一句を紹介します。

 水鳥やむかふの岸へつういつい

 芭蕉の弟子の一人・広瀬惟然(ひろせ・いぜん)と言う人の句です。
 <みずどりや むこうのきしへ つうーい、つい>
 「つうーい、つい」は口語体でしか表現できない様でしょう。

 この本も紹介できるのはいつのことやら。


 16 日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇より気になる句や歌を紹介します。

◆朝日俳壇
◇牡蠣船に昭和の明りともりけり(尾張市・古賀勇理央:大串章選)
 上がったことはありませんが、大阪・淀屋橋の橋詰にも牡蠣船があります。句で表現される「昭和の明り」とは障子を照らす電球色の明かりでしょうか?
 私は「昭和の・・・」という表現に馴染めないでいます。何故でしょう。ともあれ高級な牡蠣料理は食せませんが瀬戸内の牡蠣を食べに行きたいと早速地図を 見るのでした。

◇一人居に煤逃げなんてあるものか(豊川市・河合正秀:稲畑汀子/長谷川櫂選)
 そうだよな。わかるわかる。

◇手足荒る心荒れてはをらざるや(大阪市・柴田良子:金子兜太選)
 母が遠地の子を想うような句だと読みました。
 寒さに手足も荒れるが、心が先にささくれだって来る今日このごろです。老人や若者が無闇に他人と摩擦を起こすのは心が荒れている所為のように思います。 私も含めて周りとの距離に余裕がないのです。

◇山眠るふもとに深く眠りたし(栃木県壬生町・あらゐひとし:長谷川櫂選)
 選者は「誰しも同じ願い。しかし、まだまだ先のこと」と評されていますが、決して誰にも「まだまだ先のこと」ではありません。
 「山眠る季節に眠りたし」の心境です。


◆朝日歌壇
◇還りくる白鳥あれど帰り来ぬ人ら数字に記されて冬(宮城県・大友道 子:高野公彦選)
 一人一人に名前があり、家族がいて、それぞれに楽しくも苦しくも人生があった。渡り鳥さえ帰って来るのに。
 1月11日現在の東日本大震災の死者不明者数は1万9294人、うち3455人の方は帰っていない。

◇庭の柿今年の実放置されたまま理由も知らず重みに耐える(郡山市・畠山理恵子:高野公彦選)
 
歌われている柿のことを馬鹿な読み手である私は飽食の時代で見向きもされない柿のことか と早合点しましたが、この歌はもっと深いのです。取られずにある「理由も知らず重みに耐え」ている柿の実の哀しさ。

◇家族とは或る時ひそかに肉親の死も乞い願う病院の廊下(平塚市・西一村:永田和宏選)
 重い歌に目が止まってしまいました。共感。

◇この気持ち誰に話せば落ち着くの被災者の中に温度差がある(福島県・泉田ミチ子:佐佐木幸綱選)
 時間が経つにつれて被災者の中にも温度差が生まれてくるのでしょう。早くから関東と関西の地域差はできていました。
 そのうち、利害が対立するようなことが持ち込まれて被災者同士がいがみ合うようなことも起こるのではと思います。どの集団も対立をさせて分断させるのは 権力を持つものの常套手段です。

◆第28回朝日歌壇賞
 俳壇、歌壇のページに昨年の歌壇賞が発表されていました。4人の選者が選ばれた4首が全て震災関連の歌であり、作者はいずれも被災地の女性でした。
 私が毎週楽しみにしている美原凍子さんの<
福島を「負苦島」にして冬が来る汚染されたまんまの大地>の 歌も選ばれていました。

◇佐佐木幸綱選
 山なりにカーブを切れど三陸の見なれた町のどこにも着かない(宮城県岩沼市・山田洋子)

◇高野公彦選
 福島を「負苦島」にして冬が来る汚染されたまんまの大地(福島市・美原凍子)

◇永田和宏選
 いつ摘みし草かと子等に問われたり蓬だんごを作りて待てば(つくば 市・野田珠子)

◇馬場あき子選
 ペットボトルの残り少ない水をもて位牌荒いぬ瓦礫の中に(いわき市・吉野紀子)
←Back  Archives  Mail  Home  Next→ Top
inserted by FC2 system