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12/03/19 朝日俳壇、歌壇より

 今ではアナウンサーでも「ら抜 き」言葉を平気で使いますが、テレビなどマスメディアの言葉使いが気になります。

 何故?歌手をアーティスト(artist)トと呼ぶのでしょう?歌手では不味いことがあるのでしょうか。英語で呼びたけれ
ば ミュージシャン (musician)、シンガー(singer)で良いのではないでしょうか
 また、「師匠!師匠!」「○○先生」などと自分たちの仲間内の呼び方をするのはなぜでしょう?聞いている方はバカバカしいものです。「先生と呼ばれるほ どの馬鹿でなし」という川柳のとおりです。


 百歳を超えられて詩作に励んでおられる柴田トヨさんの処女詩 集「く じけないで」に続く百歳」という詩集が出ていましたので、母への手土産に買って行きました。移動 中に拾い読みをした中に「背負う」と題した作品がありました。

教 科書を
風呂敷に包んで
学校に通っていた息子
私と母とで内職をして
ランドセルを
買ってあげた

 母ちゃんありがとう

家中を
ランドセルを背負って
駆けまわっていた健一

あれから 五十八年
あなたは今
何を背負って
いるのかしら
 最後の「あなたは今、何を背負っているのかしら」に息子を思う母とは違う何か を感じて強く惹かれました。 
 19 日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。

◆朝日俳壇
◇風花やどつと瓦礫は積まれをり(伊賀市・福沢義男:金子兜太選)
 句の意味はなんでしょう?
 瓦礫が山と積まれた映像ばかり見せられていると、私の町でも「被災地のために」受け入れなければならないと思わさせられます。となれば守銭奴の思うまま です。

◇蠢(うごめ)くといふ漢字より地虫出づ(四日市市・盛野たね弘:大串章選)
 歌壇にも漢字を詠んだ歌が出てきますが、うごめくという漢字は「春」の下に「虫」が二つ、良く出来ていますね。

◇葦原に移りて野火の暴れ出す(福島市・渡部健:大串章選)
 野火や野焼きを実際に見たことはありません。
 放たれた火が枯草から枯れ葦に移ったとたんに火勢がます。そうだろうなあと思わせます。私のポタリングコースにも「鵜殿葦焼き」が行われるところがあり ます。来年こそは見たいものです。

◇啓蟄や地下鉄ばかり乗り継ぐ日(高崎市・山本春機:大串章選)
 啓蟄に虫は出てくるのに、人は地下に潜ったまま。

◆朝日歌壇
◇掃除の後猫を叱って淋しかり「汚染の足で歩き回らないで」(郡山市・昆キミ子:永田和宏選)
 「そうじのあと、ねこをしかって、さみしかり」まで読んで、なんだ?と思っていましたが、あとの七七が利きました。
 こういう歌をうまいと言うのでしょうね。

◇六万の人ら去りたる福島の山河さみしき春の陽炎(福島市・美原凍子:馬場あき子選)
 美原さんの歌です。
 「国破れて山河あり」の感です。ところで「国」ってなんでしょう?何のためにあるのでしょう?

◇聴き役のボランティアなる母帰り今度は我が聞く番となる(さいたま市・五十部麻:馬場あき子選)
 いっぱい人の話を聴いて帰ってきた母の話の聞き役となる私。作者の優しさが伝わります。
 聴く、聞くと二つの漢字が使い分けられていますが、母のボランティアの真剣さがうかがわれます。

◇フクシマまで反原発のデモ行くと決めたる妻にわれ逡巡す(川崎市・山根繁義:馬場あき子選)
 逡巡は何に対してでしょうか?
 妻の健康?反原発への加担??? 私は奥さんにRCサクセッションのサマータイムブルースの歌詞と共にエールを送ります。

  電力は余ってる 要らねえ
 もう要らねえ
 電力は余っている 要らねえ
 欲しくない
 原子力は要らねえ 危ねえ
 欲しくない
 要らねえ 要らねえ
 電力は余ってるってよ
 要らねえ 危ねえ

◇職人が減り芸人が増えていき技術立国日本危うし(西海市・前田一揆:佐佐木幸綱選)
 農業や漁業などの担い手が減り、職人の手仕事的な手工業も衰退しつつあります。物を生み出し、作り出す人が一番偉いと思うのですが、そんな人たちが冷遇 されています。
 「職人が減り芸人が増え」とはきつい皮肉です。

◇大雪に心は萎えてリンカーンのアメリカンコーヒーを三杯も飲む(米沢市・富川義朗:佐佐木幸綱選)
 選者の佐佐木幸綱さんは「大雪に閉ざされた鬱情を詠む。参考、本欄掲載作『リンカーンはアメリカンコーヒー三杯と唱えつつ書く今日の鬱の字』(中村偕 子、平成二一・八・三○)」と「リンカーンのアメリカンコーヒーを三杯」の意味を書かれています。
 09年当時のこの歌の選者、
高野公彦さんは「鬱という字は覚えにくいが、分解すれば 『林、缶、ワ、米、コ、ヒ、三』である。と教えてくれる楽しい歌」と書かれていました。当時は鬱の字の書き方を覚えたつもりでしたが、未だに書けません。

◇フクシマの地に刻まれた諦めと怯えと怒りは除染で消せぬ(福島市・澤正宏:佐佐木幸綱選)
 徐染では何も消せません。放射能も右から左に移すだけで暫くすれば元の黙阿弥です。まして、諦めや怒りなど。

◇スーパーのタイムサービスに並ぶ列後期高齢者点呼会の様(北九州市・梅谷清:高野公彦選)
 スーパーのタイムサービスに並べるのは後期高齢者でもまだ若い方たちでしょう。
 ホントの後期高齢者は買い物にも出られない買い物難民と化しています。タイムサービスに並ぶのは99%の私たちです。
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