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12/10/02 朝日俳壇、歌壇より

 あっという間に10月、秋本番となりました。
 食欲の秋には興味がありませんが、読書の秋とばかりに積ん読が増えつつあります。

 昨日は岩国基地から普天間基地まで6機のオスプレイが移送されたそうです。
 一昨日のオスプレイ配備に反対する市民への警察権力による野蛮な排除行為はIWJで中継されて多くの人が見たことでしょう。

 原発の2030年ゼロの閣議決定もアメリカの意向を汲み取った政府は反故にしました。
 未亡人製造機(Widow Maker)と言われるオスプレイを普天間基地に配備することもアメリカの意向に逆らえない政府によって強引に進められています。

 日本はアメリカの属国で、アメリカのポチとなった政治家に牛耳られています。
 沖縄出身のBEGINが「ハイサイCalifornia」で「芝生の丘の上 風になびく星条旗 俺達の星は 何番目だったんだろう?」と歌っています が、傀儡の国が51番目の星になることはありません。


 不平等条約である日米安保を破棄し、対等平等の日米友好条約をと強く願います。

 10月1日付けの朝日新聞の俳壇、 歌壇より気になった句や歌を紹介します。

◆朝日俳壇
◇中の眼が見てゐる気配サングラス(日野市・辻梓渕:稲畑汀子選)
 選者は「サングラスから透かして見られているのを感じた」と評されていますが、サングラスの大きな効用は視点がどこにあるかを隠すためのものではないで しょうか?サングラスを掛けた人といるといつも視線を感じるのですが。

◇谷川へ落つるほかななき木の実かな(神奈川県葉山町・中島やさか:金子兜太選)
 「他」の選択肢はありません。

◇言ふならば馬鈴薯のやうな妻である(日立市・加藤宙:金子兜太選)
 こう言う句も大好きです。
 作者の自慢げな表情が見えるようです。

◇人もまた絶滅危惧種露葎(つゆむぐら)(川崎市・半澤博子:金子兜太選)
 特に日本人は絶滅近しではないでしょうか。
 放射能を福島に閉じ込めるのではなく、「被災地の復興のために、みんなでガレキを分かち合いましょう」と瓦礫を全国で焼却して放射能や有害化学物質を撒 き散らし、挙句は中国と戦争だと勇ましいことをいう輩まで公然と出てきています。
 放射能でも戦争でも死ぬのは貧しい人たち、金持ちは安全な場所に逃げ、戦争で金儲けをするのです。

◇サヨナラの身を翻し日傘さす(東京都・長岡貝郎:長谷川櫂選)
 一読では女性の句と読みました。別れを告げて振り向くこともなく去って行くと。ところが作者名は男性のようです。そんな女性に何も言えず見送っている様 でしょうか?
 選者は「別れを告げ、日傘の人となる。『翻し』とは決然たるもの」と評されています。

◇この秋思いのちをかけてくつがえす(豊橋市・河合清:大串章選)
 生命を掛けて覆すほどの気概を持つ人が感じる秋思とはどんなものなのでしょう?

◇あの人の暮らすこの町鰯雲(静岡市・松村史基:大串章選)
 昔好きだったあの人の住むこの町に来てしまった。なんて男はややこしく、女々しいものでしょう。

◇一滴の重さとなって滴けり(南相馬市・山崎秀夫:大串章選)
 この句を読んで、改めて一滴の水滴が落ちるのは、下に落ちようとする重力と繋ぎとめようとする張力?に優った時に滴となって落ちるのですね。
 うまく言えませんが、このことは深い意味があるような気がします。


◆朝日歌壇
 今週は楽しみにしている美原凍子さんの歌が入選していませんでした。歌壇を開く楽しみが一つ減ります。こんな駄句を作ってみました。<蚯蚓哭き凍子の名 の無き歌壇かな 吉四六>

◇どんな服着てたっけホラこうやって思い出からもあなたは消えてく(北上市・小田島絹:永田和宏選)
 別れた彼を思っている若い人の歌、ズルズルと引きずる男に比べ女の人はこうして忘れていくのかと読みましたがそうではないようです。
 選者が「死者の記憶はこんな風に薄れていくのが悔しい」と書かれていますから、夫か子を亡くされた方の歌だそうです。いつも思うのですが、十七音なり三 十一音で表現されたものだけの鑑賞と、それ以外の情報を持つのでは深みが違うようです。

◇あなたにはもっといっぱい「ありがとう」言えばよかった亡くなる前に(京田辺市・藤田佳予子:永田和宏選)
 こちらは明確に亡くなった人への想い。

◇片方の乳房のゆれを感じつつせみの声聞き早朝散歩(茨木市・佐藤敬子:永田和宏選)
 乳癌で片方の乳房をなくされたのでしょう。二つあるのが当たり前と思って暮らしてきたものが突然一つになる、身体と心のバランスは時が解決するのでしょ うか?

◇この夏はビーチサンダル履かぬままこうして若さを置き忘れてゆく(東京都・上田結香:馬場あき子/高野公彦選)
 こういう分かりいい歌が良いですね。ビーチサンダルならぬ水着はもっと。

◇ほおずきを上手に鳴らし蛇くるとおどした祖母を思うよるなり(摂津市・内山豊子:馬場あき子選)
 この頃の子にも怖いものはあるのでしょうか?わが家の娘たちは幼い頃読み聞かせた斎藤隆介作、いわさきちひろ絵の「ひさの星」が可哀想で怖くて本棚の近くで寝られなかったと最近知りました。
 鬼灯の実の中を取り出して笛にするのは根のいることです。2、3個の鬼灯があれば半日は潰せたものです。

◇家政婦の大きな鞄を抱えつつ母は手を振る見送るわれに(東京都・根本孝治:馬場あき 子選)
 家政婦は未だに家政「婦」でないとダメなのでしょうか?
 住み込みで働きにゆく母を見送る少年、回想の作品と読みました。

◇浮輪三つ持つ母を先頭に四台の自転車プールへ向かへり(千葉市・角田晴美:佐佐木幸綱選)
 楽しそうです。行き先はきっと「市民プール」であった欲しい。

◇逝きし娘(こ)と同じ瞳(め)をして振り返る少女に会いに美術館へ行く(茨城県・清水光代:高野公彦選)

 同じ瞳をした少女の絵を見つけたことで一層蘇る哀しみもあるだろうと思う
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