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12/11/13 「こぶた探訪記」その後
 久しぶりに古本屋を覗いてきました。
 私は車に乗りませんので郊外にあるチェーン展開をしている大型のブックオフ風なところではなく、ターミナル駅付近にあるこじんまりとした古本屋です。
 大阪駅前第3ビルの地下2階にある古書店街もどんどんと閉店が続き、今では3店舗だけとなっています。そんな店先に「本が足りません。売ってください」 と貼り紙があり、店主に事情を訊くと古書市場も含め新古本は出て来るが、このような店に足を運ぶ客の欲しがるものは出ないとのこと。
 死の準備として、僅かな蔵書を整理しなければなりません。この際、リストアップしてみようかと思いました。

 さ て、俳人土肥あき子さんの<こがらしや子ぶたのはなもかわきけり>の作者探しをこの「残 日録」で09年1月に取り上げましたが、先日その作者が分かったそうです。

 清水哲夫さんがインターネットで主催される「増殖する俳句歳時記」の掲示板にこんな書き込みがあったことが発端で「子ぶた探し」が始まったのです。
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 こがらしや子ぶたのはなもかわきけり。これは小学校の教科書にのっていて、今でも覚え ている俳句です。どなたか作者をご存知の方はいらっしゃいませんか?
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 <子ブタ・・・>の句は、子どもたち から俳句を公募?し選ばれ、1947(昭和22)年の小学4年生の教科書に載せられた24句の内の1句であることまではわ かったのですが・・・。ミステリアスな展開なった顛末は「こ ぶた探訪記」をお読みください。

 <子ぶた・・・>の作者は一通のメールから一挙に明らかになっていきます。
 今年10月に届いたメールには「中村草田男全集」の第9巻に「小学校国定教科書の俳句について」というエッセイがあることが知らされたのです。
 詳細は、清水哲夫さん「増殖する俳 句歳時記」から出されている電子書籍「ZouX」 304号の「こぶたの正体」(土肥あき子)をお読みください。

 そのエッセーによると国語教科書編集委員の石森延男から、児童の作品を5句ほど選出してくれと頼まれた草田男は、自分が俳句の選者をしていた雑誌「少国 民の友」という雑誌の入選句から選んだとのことでした。
 「こぶた探訪記」の時も、俳句の投稿欄のある雑誌、新聞を当たられたそうですが「少国民の友」は欠号ばかりで十分チェックができなかったそうです。
 今は国会図書館に保存されていた「少国民の友」
昭和21年4月号のマイクロフィルムには <子ぶた・・・>の句が作者の名前とともにありました。

◇凩や子豚の鼻も乾きけり        群馬 小野敏夫

 小野さんの句の他に次の5句も掲載されていたそうです。

◇かあさんがぼんやりみえるかやの中 山口 吉田元紀
◇上ばきを自分でつくるわらしごと    長野 林孝一
◇子もりするしずかなる月なの上に    高知 中川憲太郎
◇麦ふむやみだれし麦の夕日かげ    茨城 宮田清
◇月の夜をわが家のありしあたりまで  山口 福永邦昭

 朝日歌壇などに入選している子どもの作品と比べると随分大人びた作品ばかりです。また、
藁草履つくりや子守り、麦踏みな ど労働をする子どもの姿です。今の子どもたちとはちょっと違う世界に暮らしていたのでしょう。
 大人びた作品の中でも、<子ぶた・・・>は子どもらしい作品だったから、発端となった投書者がよく覚えていたでしょうか? 

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