05/01/07
価格は安いほうが・・(2) 自転車の価格
本題に入る前に、奈良県の少女誘拐殺人事件のことで気になることを。
年末にようやく、容疑者が逮捕されたことでやれやれの感ですが、なぜ逮捕までに40数日もかかってしまったのか奈良県警の捜査にいくらかの疑問を感じま
した。
◇犯行後の12月14日に、少女の携帯電話から自分の携帯電話に少女の写真を送信していたと報じられています。http://www.asahi.com/special/041215/OSK200412310020.html
他人の携帯電話を借りていたとのことですが、少女の持っていた携帯電話の回線は完全に警察の監視下にあったはずですから、写真を送信した時点で容疑者の
持っていた携帯電話の契約者は特定できたはずです。契約者が分かれば容疑者にたどり着くのに1日もあれば十分な時間だと思います。
警察は、ほかに理由があって容疑者を泳がせていたのでしょうか?
テレビで、このことを質問された取材スタッフは”全国的な事件で慎重を期したのではないでしょうか”と言っていましたが。。
◇子供に対する性的犯罪の報道で「いたずら目的」「いたずらをしようと・・」との表現は、ことの本質をあいまいにしてしまうような気がします。
前
回は、牛乳の紙パック包装と水道哲学などを例にして、価格を下げて安く物を提供することが本当の幸せに繋
がっているのだろうかと考えてみました。
今回は、自転車の価格について考えてみました。
◆生産・輸入台数
日本国内で販売される自転車の台数は、年間でおおよそ1100万台を超えています。
|
国内生産 |
輸出 |
輸入 |
国内供給 |
国産比率 |
数量(台) |
2,519,732 |
865,478 |
8,702,626 |
11,222,358 |
29.0% |
金額(百万円) |
36,862 |
1,152 |
55,149 |
- |
- |
単価(円) |
14,629 |
1,331 |
6,337 |
- |
- |
*1.(財)自転車産業
振興協会調べ(04/01から4/12)
*2.完成車のみ
*3.輸出の殆どは中古自転車のため、国内供給=国内生産+輸入とする。
*4.単価は、金額を数量で単純に除しているだけです。
○国産自転車は全体の30%未満で、殆どの自転車は輸入された廉価なものである。
◆輸入自転車
前項でも見たように国産の自転車の単価(出荷時)が14,000円強なのに、輸入自転車の単価(輸入時)は6,000円強と2倍以上の開きがある。
輸入国別に輸入数と単価を見てみると以下のようになる。
|
中国 |
台湾 |
ベトナム |
アメリカ |
香港 |
ドイツ |
インドネシア |
イタリア |
数量(台) |
8,050,072 |
595,443 |
34,347 |
10,219 |
4,007 |
2,775 |
2,210 |
1,255 |
金額(百万円) |
47,042 |
6,437 |
233 |
850 |
34 |
233 |
32 |
146 |
単価(円) |
5,844 |
10,810 |
6,797 |
83,210 |
8,579 |
83,952 |
14,691 |
116,612 |
*1.(財)自転車産業
振興協会調べ(04年1月から4年12月)
*2.完成車のみ
*3.単価は、金額を数量で除しているだけです。
○イタリア等の高級自社ブランドを持つ国と、台湾など高級ブランドのOEMメーカが多い国の単価は高く、大量生産でコストを下げることのみの国からの輸入
品の単価は何分の一かの低価格です。
◆廃棄台数
国内の自転車の保有台数は、約8,500万台(01年)、年間増加数は200万台弱と推計されており、(廃棄自転車台数)=(国内供給台数)−(年間増
加数)で求められる。
1100万台−200万台=900万台
(財)自転車産業振興協会の調査では、小売店による回収、自治体放置自転車対策による回収、自治体清掃部署の回収の合計値は649万台(H15年度調
査)となっている。
○年間1100万台が供給され、900万台が廃棄処分されている。その内250万台は実態が掴めていない。
◆安い外国産の自転車を大量に輸入し、殆ど使い捨てと同じように消費していっているのが現状です。大量生産、大量消費を絵に書いたような構造です。
◆自転車は、耐久消費財ではなく消耗品に近くなっています。
◆自転車の価格は、戦後大きく変動していません。(自転車税の項参考)
◆所有者が愛着を持ってメンテナンスを繰り返し長く使えるような類の商品から、値段を下げることだけに注力された製品が世の中を闊歩しています。
◆放置自転車、寸借泥棒、不法廃棄、、、と本当に価格が安いことが、私たち消費者にとってもよいことなのか疑問を感じてしまいます。
◆参考
◇レンタル自転車の試み
JR西日本などの鉄道会社が、レンタサイクルの新しい試みをしています。
・仕組みは、利用者は自転車を所有しません。
・月額2000円程度で、レンタルの契約をします。
・帰りに駅から乗って帰り、出勤時に駅で返すのです。
・駐輪場代も、自転車のメンテナンス料もかかりません、
面白い仕組みだと思います。
JR西日本の「駅リンくん」http://www.ekiren.com/EKIRIN/
・1ヶ月定期利用は保証金8000円(退会手続後、銀行振り込みにて返金)が必要です。
・1回利用(翌日の10時まで)は300円です。 1,500円から2,000円/月(駅によって違うようです)
◇自転車税
1875年(明治8)に当時は贅沢品との意識もあり、国税1円/台、東京府税1円/台が道路、橋梁整備、巡査の経費に当てるとの理由で導入されました。
業界団体の何度にもわたる廃止運動がありましたが、58年(昭和33)に廃止されました。
|
自転車税 |
自転車の値段 |
物価など |
50年(昭和25) |
200 円/台/年 |
6000
円〜15000円 |
白米:455円/Kg
銀行員の初任給:3000円 |
54年(昭和29) |
200 円/台/年 |
|
新聞:330円/月 |
56年(昭和31) |
200 円/台/年 |
11000
円〜20000円 |
ラーメン:40円/杯 |
58年(昭和33) |
自転車荷車税廃止 |
|
|
課税されるのは御免ですが、そんな時代
もあったのですね。
|