05/12/01
明治屋
”うしろすがたのしぐれていくか” 山頭火
今日から師走です。
私の上にも、皆さんと同じように時が刻まれていきます。
数日まえから、大阪の街にも冬の兆しのような風が吹きはじめました。
御堂筋の銀杏並木も一段と黄色に染まりつつあります。
出勤途上の地下街ではダンボールに寝ているホームレスが目立つようになりました。
こんな夜には、熱燗で一杯と行きたいものです。
先日、出先からの帰り道、居酒屋では大阪随一と言われる阿倍野の「明治屋」に行ってきました。中々雰囲気の良い店でしたので紹介します。
JR天王寺から阿倍野筋を南に300m程下がったところ、チンチン電車(阪堺線)の通りに面しています。
ガラスの引き戸を開けて店に入ると、右側に14、5人が座れるコの字形のカウンター、広い土間を挟んで左側には4人掛けのテーブルが3つほどの席があり
ます。
17時過ぎで客はカウンターに4、5人、私もカウンターの端に座る。
「残日録」(05/0/31)で紹介した「超居酒屋入門」で太田和彦さんは明治屋についてこのように書かれています。
「大阪の名居酒屋『明治屋』もカウンター正面は『松竹海老』の白木四斗樽だ。ほんのり甘口の大阪らしいやわらかな飲み口は、気持ちをゆるやかにさせる。
この店の開店は午後一時。外は明るく、まだ室内の空気のきれいな昼下がり、ここの年季の入ったカウンターに座り、じんわりと樽酒を飲むのは、リタイアした
男の至福の時だろう。」
カウンター正面には真新しくて大きな四斗樽がどんと座り木の香りがしてきそうです。
その左手にはずんぐりした陶器の花器に生け花、花器の傍に[寒桜、黄菊、シンピジューム、舞風車]と書かれた札がある。無粋な私には花の名前がわかり中
々のアイデアだと思いました。
生け花の左に俳句と落葉(柿の葉?)の絵が書かれた葉書大の色紙が掛かっています。秋の句のようですが、文字が小さくて読めませんでした。
この色紙も季節ごとに掛け代わるのでしょうね。
樽の右手には座布団を2枚も重ねて、牛の置物が寝そべっています。
左手上部には神棚(と思ったのですが)があり、[常富大菩薩]と縦書きされた提灯が並んでいます。
常富大菩薩とはどのようなご利益があるのでしょうか?能勢の妙見山にも祀られているようです。
さあ、お酒をいただきましょう。
「熱燗」と注文すると、樽の酒を使い込んだ一合升でカウンタ前にある燗器に入れて燗をしてくれます。
薄いガラスの酒器には[明治屋]の印字、猪口は白くチューリップの花状で紺の縦縞にこちらも[明治屋]の刻があります。
一杯目は主人が注いでくれます。
肴は〆鯖、浅目の酢で美味しくいただきます。
二杯目も「熱燗」、肴は鱈の白子を注文します。
カウンターの中では調理をせずに奥に注文がとおされます。カウンターの中はすっきりとしています。
日本酒を3杯と、肴が3品、締めて2500円、満足の時間でした。
外に出るとすっかり暗くなっています。
お店の周りは、再開発とかで空き地が目立ちます。この店も立ち退きの運命にあるのでしょうか?
日本酒もたくさん種類があります、ビールも、ワインも、焼酎もあります。
肴は黒板に手書きで書かれています。。全て自家製だそうです。是非一度お出かけください。
こちらにお
店を紹介したWebサイトがあります。
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