09/06/01
朝日俳壇、歌壇のことなど
朝日新聞の俳壇、
歌壇より気になったものを紹介します。
◆朝日俳壇
◇聖五月われらぼうぼうとねむたい(延岡市・安賀多けい:金子兜太選)
「ぼうぼうとねむたい」ですね。「聖五月」という言葉の使い方がわからずにいます。
「増殖する俳句歳時記」で清水哲男さんは、「落葉松の空の濡れをり聖五月」という句の解説の中で次のように書かれています。
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この「聖五月」という言い方は、阿波野青畝に「聖母の名負ひて五月は来たりけり」とあるように、元来はカトリックの「聖母月」に発している。「マリア月」
とも言う。だから、いまでももちろん「聖母」に崇敬の念をこめた句も詠まれてはいるが、おおかたの俳人は掲句のように、宗教とは無縁の感覚で「聖五月」を
使っている。それこそ「清々しさ」から来る日本的な「聖性」を表現している。西洋語を換骨奪胎して、別の輝きを与えた季語の成功例の一つだろう。
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益々、使いづらい季語となります。
◇父の日や父の思ひ出おぼつかな(山梨県・笠井彰:長谷川櫂選)
父が亡くなって10年ばかり経ちます。
僅か10年ですが、思い出も風化していきます。人は二度死ぬと言われます。生物としての死と、残された者の記憶から消えた時の死です。私は父を二度も葬
り去ろうとしています。
◇噴水の届かざる空見上げけり(茨木市・瀬戸順治:大串章選)
高く吹き上げる噴水の先の空を見上げている夏のカラッとした風景を詠んだものかと思いましたが、選者は「夏の活気を感じさせるが、鬱屈したところもあ
る。『届かざる』の措辞がそう感じさせるのか。」と評されています。
なるほど。
◇力なく揺れる柳の力かな(加賀市・西やすのり:稲畑汀子選)
力なく頼りなげに見えるものに、みなぎる力を感じるのです。
掲句に柳しかり、鯉のぼりしかり、赤ちゃんの握りこぶししかりです。
頼りなげな人間に見えて、力を秘めているような人になりたいものです。
◆朝日歌壇
◇壕中で泣き叫ぶ赤児(こ)が仕方なく強いられし死も自決の数に(東根市・庄司天明:永田和宏選)
◇学徒らは死を諾なひて征きませり昭和の阿修羅いくつ顔もつ(神奈川県・加藤三春:永田和宏選)
今日から6月、沖縄慰霊の日は23日です。
多くの人の「死」の上に今の平和があるにもかかわらず、きな臭い動きがあること、しっかり見なければなりません。
◇北アルプスを背に一面の菜の畑を耕作放棄田と知りて撮りゐるや(長野県・小林正人:馬場あき子選)
蓮華畑、菜の花畑、向日葵畑、、、観光客を呼ぶこの種の風景は本来米を作るための田んぼが使われています。
綺麗、綺麗とのお祭り騒ぎが、三反百姓の次男坊には哀しいこうけいです。
休耕田は減反政策で米を作っていない田んぼ、耕作放棄田とはどういう状態なんでしょう。
◇松本清張・棟方志功・土門拳面魂という語を読めば(茨木市・瀬川幸子:佐佐木幸綱選)
味のある顔です。緒
形拳さんもその種の顔でした。「面魂(つらだましい)」とは、強い意思が現れている顔つきだそうです。こ
ういう骨太の顔の方が少なくなってきました。進化でしょうか?退化でしょうか?
◆
民主党
障害者団体向けの郵便料金の割引制度の悪用した事件は、政治家の口利きがあったようです。
与党の政治家にとって、役所への口利きが利くことが自分の力を誇示する手段なのです。
この事件の政治家とは、石井一・民主党副代表のようです。「郵便不正、議員関係者名乗り団体認可依頼 代表が供述」(朝日新聞 09/05/27)
民主党も選挙前に大変な火種を抱えたものです。
◆不可解な事件、進展せず?
残日録(09/05/18)で取り上げた愛
知
県蟹江町でおきた一家殺傷事件はその後の報道もなく進展がないのでしょうか?
今日の朝日新聞に「スパナ準備・椀に唾液…不可解な行動 蟹江一家殺傷事件」という記事がありましたが、事件発生から1ヶ月での
続報というだけで新たな情報はありませんでした。
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