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11/08/30 朝日俳壇、歌壇より
 5 人の候補者は誰ひとり脱原発を明確にしないまま民主党の代表選が終わりました。
 民主党の国会議員たちは、消費税増税、法人税減税、原発推進、「A級戦犯は戦争犯罪人ではない」との歴史認識を持つ野田佳彦氏を代表に選んだのです。お まけにアメリカべったりとは、自民党とどこが違うのでしょう。
 政権公約を守れないなら、総選挙するのが筋ではないでしょうか。

 さて、昨日の朝日新聞に掲載されていた石川県かほく市の落とし穴事件で死亡した夫婦の肩書きを
、夫は「会社員」、妻は 「事務員」と書いていました。
 いまどき、事務員なんて表現を使うのでしょうか?どんな仕事をしている人を事務員なんて呼ぶのでしょう。
 私にはこの記事の女性を「事務員」との呼称は十分に差別的に見えました。ちなみに毎日新聞、日本経済新聞が同様の呼称を使っていました。

 以前より、マスコミの使う肩書きの呼称に疑問を持っていて、04年に「マ スコミ報道の肩書き」というものを書きました。そのときの朝日新聞と毎日新聞に「
報 道 の肩書き(会社員等の職業)基準はどのようになっているのでしょうか?」との問い合わせをしました。2社からの回答は以下 でした。

-----朝日新聞からの回答---------------------------
  お尋ねの 件、肩書については国勢調査の職業欄などを参考としていますが、類似の肩書であっても呼称を統一することはしておりません。
 例えば会社社長と会社経営者は似てはいますが、微妙な違いがあります。
 報道に際しては、情報の要素として的確な肩書を表記するよう努めております。
 これは実名、匿名を問わず同じです。
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-----毎日新聞からの回答------------- --------------
  お尋ねの件ですが、厳密な意味での基準は特にありませんが、事件報道の場合の肩書きについては、基本的には警察の発表がもとになっていることが多いです。
 また本人や関係者に取材し、社会通念に照らし合わ せて判断することも多いです。
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 肩書きの呼称はかなり恣意的に使い分けられているようです。
 報道を注意深く見ていると、警察やマスコミが予断を持って人を見ていることがよくわかります。


  29日付けの朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。

◆朝日俳壇
◇辛抱の足らぬ線香花火かな(羽村市:安元ふみき:稲畑汀子選)
 線香花火は、牡丹、松葉、柳、ちり菊と変化していく光の変化を楽しむのだそうです。中国産の安いものだと最後の赤い火玉から小さな光を放つちり菊になる かならない時に火玉が落ちてしまいます。
 句意を「線香花火よ、もう少し辛抱してしっかり芯から落ちるな」と読んでいましたら、選者は「線香花火を囲んでいると火玉をすぐに落としてしまう。じっ と待つ辛抱が足らぬと見た作者」と花火の持ち手の人間に辛抱しろよという意味だと言われていますが。

◇悪者は核でなく人百日紅(北九州市・河原修三:金子兜太選)
 核は悪者ではない、すべて使う人間に問題があるのだとは思いたいけれど、今の人間には核を操る知恵も技術もないのです。
 私は「核の存在も悪」と呼びたい。

◇原爆忌いくさ知らざる吾も老い(平塚市・日下光代:長谷川櫂選)
 敗戦後66年、戦争を体験していない私たちも老いてきました。戦争を体験した人たちにはその体験を語り継いで欲しいと思う。戦争を体験していない私は何 をすればいいのだろうか?といつも反芻します。春以来、3・11以降、何をすべきなんだろうと思うばかりです。

◆朝日歌壇
◇本のなかレシートはさまるこの頃はまだ歩けしか逝きたる夫は(岡山市・金光幸:永田和宏選)
 古書店で求めた本にはたまにレシートやらしおり、覚え書きのような小さな紙片が挟まっていることがあります。遠い地名のレシートであれば、どんな町なん だろう、どんな人が買って読んだのだろうかと想像するだけで買った甲斐があります。
 作者は、レシートを見て元気なころの亡夫を思われた。こんな夫婦がよいですね。

◇大文字の送り火用の松の木は地元で焚かれ人黙すのみ(摂津市・内山豊子:永田和宏選)
 選者は<被災地にツアーで見に来る他県民がれきの前でピースのポーズ(東京都・久和響子)>の歌と並べて「被災地の悲しみを逆撫でする鈍感さへの怒り」 と評しています。

 京都の大文字の送り火用にと原発事故の被災地から送られた松を「燃やすと放射能が飛散する」と送り返した?事件がありました。被災地とその他の地域は放 射能の汚染の濃度が違うだけでみんな被災地なのに、人々を分断することのように思えました。この事件を京都大学原子炉実験所の小出浩章さんは、
 (放射能を含んだ松を燃やせば放射能を飛散させて危険なこと)「しかしそんな事言うなら、福島からもう京都だって放射能が飛んできてるわけですから。そ のことにこそ京都の人たちは怒って欲しいし、原子力発電というものがどういうものかということに、声を上げて欲しいと思いますけれども」と言っています。

 既に日本に住むすべての人たちが東京電力の犯罪被害者なのです。

◇夜来の雨夾竹桃の花散らす六十六回目の終戦記念日(横須賀市・矢田紀子:佐佐木幸綱選)

◇「がんばろう日本」はいよよ祭めき消えがちになる事の真実(土浦市・栗田幸一:佐佐木幸綱選)
 猫も杓子も「がんばろう日本」、この言葉さえ言えばすべてが免罪されるようです。
 「祭めき、消えがちになる事の真実」そのとおりだと思います。耳障りのよい掛け声やスローガンに注意しなければ。

◇好きだって言ってくれたのは三ツ編みか三ツ編み結った私のことか(池田市・平井朝子:佐佐木幸綱選)
◇中年の恋はきりがなく貪婪で火が鍋底を舐めるようなキス (神戸市・野中智永子:高野公彦選)
 恋の歌を二つ並べて見ました。
 上は爽やかな若い人の恋、下は貪婪な中年の恋。
 「鍋底を舐めるようなキス」も、もう既に中年を卒業した身にはうらやましいことです。

◇初体験ばかりがつづく老いの道テキストなしのテストが続く(神戸市・西田貞二:高野公彦選)
 恋の歌の続きに「初体験」ではドキッとしましたが、老いても毎日が初体験の出来事が続きテキストなしのテストを受けているようだとの意味でしょうか?
 まあ、一番の初体験は死ぬことでしょうが。

  今週の俳壇、歌壇には難しい漢字が出ていました。
 読むことはできても、ほとんど書くことができません。
◇海嘯(かいしょう)
◇莟(つぼみ)
◇羆(ひぐま)
◇静寂(しじま)
◇鶫(つぐみ)
◇貪婪(どんらん)

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