08/09/30 呆れた政治屋
この9ヶ月も、良いことのない
時でした。
天候もジトジトと秋黴雨(あきついり)、相変わらず気の晴れない時間を過ごしています。
◆中山国交相(当時)発言の真意
史上最短で大臣の椅子を下りた中山成彬という人間の一連の発言は何を意図していたのでしょうか?
当初の発言は「失言」だったのかもしれませんが、27日の宮崎県での自民党の集会への発言から、彼の確信性は一段とエスカレートしました。
「撤回はしない。わたしは日本の教育のガンは日教組だと思っている。ぶっ壊すために火の玉になる。」
「何とか解体しなければならない。」
常軌を逸したとしか言いようがありません。
地域的にはバラツキがあるものの28%程度の組織率しか持たない日教組(日本教職員組合)を「火の玉」になって「ぶっ壊す」ために政治生命を掛けねばな
らぬ相手とは思えません。
また、日本国憲法で保障されている結社の自由を奪い取るような行為は、大臣であれ、国会議員であれ、一人の人間であれ許されるものではありません。
※集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。(日本国憲法 第21条)
中山議員は辞任後の29日に出演したテレビ番組で居直り発言とともに下記のような発言もしているそうです。
「いずれこういう番組に出してもらえることになるのではと思っていた。よく呼んでくれた。自分の信条を聞いてもらうために神様が導いてくれたんではない
かと思う」 (伊藤乾「中山前国交相の『情報自爆テロ』? NIKKEI BP ONLINE」
「神様が導いてくれた」とは、唖然、呆然ですが、男の期待に応えて発言の場を与えているメディアの弱さも追求されねばなりません。
前記の伊藤乾さんの記事の中に下記のような指摘もあります。
「『麻生支持層』が多いとされるネットワーク上では『2チャンネル』などに圧倒的な『中山支持』の声も出ている。
もし政治不信層の『潜在ネット右翼』数百万票を引っ張れたなら、この特攻、たいした成果になっているのかもしれません。」
「潜在ネット右翼」だけでなく、公然と中山発言に賛意を示す政治家もいます。
「中山国交相の発言に対し、学力調査の結果公開を求めて市町村教委とバトルを繰り広げている橋下徹・大阪府知事は26日、報道陣に『表現方法は賛否両論
あ
ると思うが、本質をついているような発言なんじゃないですか』と話した。橋下知事は『(公開には)教員が大騒ぎして大反対している。教員組合が強いかどう
かはわからないが、教員が教育の中立性の名の下に府民の声を聞かなかった』などと述べた。(「国交相発言『本質ついてる』 橋下知事は擁護論」 朝日新聞 08/09/27)
PTAを解体すると発言するような男は、日教組を解体するという男と相通じるところがあるのでしょうね。
◆御名御璽演説
29日に麻生首相の所信表明演説がありました。
「麻生首相の所信表明演説」(朝日新聞 08/09/29)
初めての衆議院議員選挙の演説で「下々の皆さん・・・」と発言した男らしい演説だった
と思います。
◇大時代
冒頭で「この度、国権の最高機関による指名、かしこくも、御名
御璽(ぎょめいぎょじ)をいただき・・・」から始まり、「わたしの前に、58人の総理が列しておいでです。118年になんなんとす
る、憲政の大河があります。」と述べました。
ほかにも文語体の言葉使いもあり、なんとも大時代的な発言です。吉田茂の末裔であると言いたかったのでしょうね。
御名御璽は天皇の任命辞令にある記名・印のこと。
◇強い日本
「日本は、強くあらねばなりません。強い日本と
は、難局に臨んで動じず、むしろこれを好機として、一層の飛躍を成し遂げる国であります。」
「強い日本」という言葉に「富国強兵」を連想するのは穿ちすぎでしょうか。
◇政策
個別具体的な政策はあまり見られなかったのですが、「今年度内に、定額減税を実施します」とのこと、期待したいものです。
舛添・ネズミ男が、福田首相、町村官房長官にも相談せず、麻生総裁選候補(当時)に相談し「新たな制度を創設する」と発言していた後期高齢者医療保険制
度については「1年を目途に、必要な見直しを検討
します」と大幅にトーンダウンとなっています。
※残日録(080922)参照。
選挙前の演説は、良いことばかりが述べられます。麻生氏の言葉を借りれば「財源を明示し」ロードマップを示して欲しいものです。
・最低賃金の引き上げ
・労働者派遣制度の見直し
・地域主権型道州制を目指す
・50%の自給率を目指す etc.
◇
対米従属
外交については下記の5点に取り組むそうです。
@日米同盟の強化
A隣国(中国、韓国、ロシア、アジア・太平洋の諸国)との共存
Bテロ、温暖化、貧困など
C我が国が信奉するかけがえのない価値が、若い
民主主義諸国に根づいていくよう助力する
D北朝鮮問題
対米従属の強化が最大の課題であるそうです。
ちなみに、拉致問題を含む北朝鮮への対応の優先度はこの程度なのでしょうか。
Cの「我が国が信奉する価値」「若い民主主義諸国」の意味が分かりませんでした。
憲法9条の精神を諸国に根付かせる努力をして欲しいものです。
◇
野党・自民党
持論を述べた後、「以上を踏まえて、民主党に伺います」などと、民主党に対抗意識をもろに出した発言をしています。
まるで選挙演説か党首討論、野党・自民党総裁の代
表質問のように感じました。
野に下る覚悟ありなのでしょうか。(笑)
◇誰に向かって?
演説は下記の言葉で締めくくられています。
「再び、民主党をはじめ野党の諸君に、国会運営への協力を強く要請します。当面の論点を、以上にご提示しました。お考えをお聞かせ願いたく、わたしの所
信
表明を終えます。」
彼は自らの所信を議場の国会議員に対して行ったようです。
この国の主人公は、下々の「国民」です。間違ってはなりません。
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